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July 22, 2010 Vol. 363 No. 4

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急性期の前十字靱帯断裂の治療に関する無作為化試験
A Randomized Trial of Treatment for Acute Anterior Cruciate Ligament Tears

R.B. Frobell and Others

背景

膝前十字靱帯(ACL)断裂の至適管理法は明らかにされていない.

方 法

活動的な若年成人の ACL 損傷新鮮症例 121 例を対象に,2 つの治療戦略について無作為化比較試験を行った:体系的リハビリテーション+早期 ACL 再建(早期 ACL 再建),体系的なリハビリテーション+必要に応じて選択的に施行する待期的 ACL 再建(待期的 ACL 再建).主要転帰は,膝関節損傷と変形性関節症転帰スコア(Knee Injury and Osteoarthritis Outcome Score:KOOS)の 4 つの下位尺度,すなわち疼痛,症状,スポーツ時・レクリエーション時の機能,膝関連 QOL(KOOS4,スコアは 0 [最低]~100 [最高])の平均スコアにおけるベースラインから 2 年後の変化とした.副次的転帰は,KOOS の 5 つの下位尺度すべてと SF-36 健康調査票の成績,Tegner 活動性尺度のスコアなどとした.

結 果

早期 ACL 再建群に割り付けられた 62 例のうち,1 例は手術を受けなかった.待期的 ACL 再建群に割り付けられた 59 例のうち,23 例は待期的 ACL 再建術を受け,残りの 36 例はリハビリテーションのみを受けた.ベースラインから 2 年後の平均 KOOS4 スコアの絶対的変化は,早期 ACL 再建群で 39.2 点,待期的 ACL 再建群で 39.4 点であった(両群間の絶対差 0.2 ポイント,95%信頼区間 -6.5~6.8,ベースラインスコアで補正後の P=0.96).副次的転帰に関して両群間に有意差は認められなかった.有害事象の頻度は両群ともに高かった.患者が実際に受けた治療に基づいてデータを解析すると,結果は同等であった.

結 論

活動的な若年成人の ACL 断裂新鮮症例では,早期 ACL 再建戦略に,待期的 ACL 再建戦略に対する優越性は認められなかった.待期的 ACL 再建戦略では,再建術の施行頻度が有意に低下した.(スウェーデン研究評議会とルンド大学医学部ほかから研究助成を受けた.Current Controlled Trials 番号:ISRCTN84752559)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 363 : 331 - 42. )