病院レベルの管理データの断面研究により，正看護師の配置人数がより少ないことと，患者死亡率との上昇が関連することが示されている．しかし，こうした研究は，配置人数と個々の患者の経験との直接的な関連が示されておらず，また統計的制御が不十分であるという点で批判されている．

大規模な三次大学病院の 43 病棟における入院 197,961 件と，8 時間単位の看護シフト 176,696 件のデータを用いて，死亡率と，正看護師の配置人数が目標を下回る時間が 8 時間以上の看護シフトへの患者の曝露との関連を検討した．死亡率と，入院・転院・退院による病床回転率の高さとの関連も検証した．Cox 比例ハザードモデルを用いて，患者と病棟の特性を補正して解析した．

正看護師の配置は全シフトの 84%で目標の 8 時間以内であり，病床回転率は 93%で日中シフト平均±1 SD 以内であった．全死亡率は，修正診断群別分類に基づく類似患者における期待死亡率の 61%であった．死亡率の上昇と，正看護師の配置人数が目標を下回る時間が 8 時間以上のシフトへの曝露の増加とのあいだに，有意な関連が認められた（配置人数が目標を下回る時間が 8 時間以上のシフトあたりのハザード比 1.02，95%信頼区間 [CI] 1.01～1.03，P＜0.001）. 死亡率の上昇と高い病床回転率との関連も有意であった（病床回転率の高いシフトあたりのハザード比 1.04，95% CI 1.02～1.06，P＜0.001）．

この後ろ向き観察研究において，正看護師の配置人数が目標を下回ることは死亡率の上昇と関連しており，患者における看護のニーズと看護師配置をマッチさせる必要性が強く示唆される．（米国医療研究品質局から研究助成を受けた．）