The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

March 17, 2011 Vol. 364 No. 11

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

急性骨髄性白血病に対するシタラビンの用量
Cytarabine Dose for Acute Myeloid Leukemia

B. Löwenberg and Others

背景

シタラビン(ara-C)は急性骨髄性白血病(AML)治療における重要な薬剤である.高用量シタラビン(2,000~3,000 mg/m2 体表面積)は毒性を示すが,標準用量の 100~400 mg/m2 に比べて高い無再発生存率が得られる.中間的な用量の十分な評価は行われていない.

方 法

AML と新たに診断された 18~60 歳(中央値 49 歳)の患者を対象に,2 つの寛解導入レジメンを比較した.中用量群 431 例では,寛解導入療法のサイクル 1 でシタラビン 200 mg/m2 の 24 時間持続点滴静注を行い,サイクル 2 で 1,000 mg/m2 の 3 時間点滴静注を 1 日 2 回行った.高用量群 429 例では,用量漸増レジメンで,サイクル 1 でシタラビン 1,000 mg/m2 の点滴静注を 12 時間ごとに行い,サイクル 2 で 2,000 mg/m2 の点滴静注を 1 日 2 回行った.完全寛解が得られた患者にはシタラビンを追加投与しなかったが,化学療法の 3 サイクル目として地固め療法(ミトキサントロン+エトポシド)を行うか,自家幹細胞移植もしくは同種幹細胞移植を行った.各群で完全寛解率,生存率,毒性を評価した.

結 果

追跡期間中央値 5 年の時点で,中用量群と高用量群とのあいだに,完全寛解率(それぞれ 80%と 82%),再発率,5 年無イベント生存率(34%と 35%),全生存率(40%と 42%)における有意差は認められなかった.いずれの予後因子のサブグループにおいても,高用量シタラビンの明確な利益は認められなかった.高用量群では,グレード 3 とグレード 4 の毒性の発現率の上昇(サイクル 1),入院期間の延長,好中球回復の遅延(サイクル 2),血小板回復の遅延(サイクル 2 と 3)が認められた.

結 論

より低用量のシタラビンを用いた寛解導入療法で,すでにすべての奏効のエンドポイントに最大の抗白血病作用が得られていることから,この用量を超えると用量反応曲線は水平になることが示唆される.高用量シタラビンでは,治療上の利益は得られないが過剰な毒性が生じる.(Netherlands Trial Register 番号:NTR230)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 364 : 1027 - 36. )