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March 17, 2011 Vol. 364 No. 11

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薬剤溶出ステントを用いた PCI 施行後の QOL と冠動脈バイパス術施行後の QOL との比較
Quality of Life after PCI with Drug-Eluting Stents or Coronary-Artery Bypass Surgery

D.J. Cohen and Others

背景

多枝血行再建が予定されている患者では,冠動脈バイパス術(CABG)のほうが,バルーン血管形成やベアメタルステントによる経皮的冠動脈インターベンション(PCI)に比べ,狭心症発作の大幅な軽減と QOL の向上が得られることが先行研究で示されている.薬剤溶出ステントを用いた PCI がこれらの転帰に及ぼす影響については明らかにされていない.

方 法

大規模無作為化試験において,3 枝病変または左冠動脈主幹部病変を有する患者 1,800 例を,CABG 群(897 例)とパクリタキセル溶出ステントを用いた PCI 群(903 例)に無作為に割り付けた.ベースラインおよび 1,6,12 ヵ月後に,シアトル狭心症質問票(SAQ)と医療転帰研究健康調査票 36 項目短縮版(SF-36)を用いて,健康関連 QOL を評価した.主要エンドポイントは,SAQ の狭心症発作頻度に関するサブスケールスコア(0~100 点で,点数が高いほど健康状態が良好であることを示す)とした.

結 果

SAQ,SF-36 の各サブスケールスコアは,両群ともベースラインに比べ,6 ヵ月後,12 ヵ月後のほうが有意に高かった.SAQ の狭心症発作頻度に関するサブスケールスコアの上昇は,6 ヵ月後,12 ヵ月後の両時点で CABG 群のほうが PCI 群よりも大きかったが(それぞれ P=0.04 と P=0.03),群間差は小さかった(両時点とも平均群間差は 1.7 点).狭心症発作がなかった患者の割合は,1 ヵ月後,6 ヵ月後は両群で同程度であったが,12 ヵ月後は CABG 群のほうが PCI 群よりも高かった(76.3% 対 71.6%,P=0.05).SAQ と SF-36 のその他すべてのサブスケールスコアは,PCI 群のほうが高いか(主に 1 ヵ月後),追跡期間を通じて両群で同程度であった.

結 論

3 枝病変または左冠動脈主幹部病変を有する患者では,CABG のほうが,PCI に比べ,6 ヵ月後と 12 ヵ月後に狭心症発作の大幅な軽減が認められたが,有益性は小さかった.(Boston Scientific 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00114972)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 364 : 1016 - 26. )