The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

Share

RSS

日本語アブストラクト

May 12, 2011 Vol. 364 No. 19

特発性アカラシアに対するバルーン拡張術と腹腔鏡下 Heller 筋層切開術との比較
Pneumatic Dilation versus Laparoscopic Heller's Myotomy for Idiopathic Achalasia

G.E. Boeckxstaens and Others

背景

アカラシアの治療法として,腹腔鏡下 Heller 筋層切開術(Laparoscopic Heller's Myotomy:LHM)はバルーン拡張術より優れていると考える専門医は多く,アカラシア治療に LHM が選択されることが増えている.

方 法

アカラシアと新たに診断された患者を,バルーン拡張術または LHM+Dor 噴門形成術に無作為に割り付けた.Eckardt スコア(0~12,スコアが高いほど症状が強い)を用いて,体重減少,嚥下障害,胸骨背部痛,逆流などの症状を評価した.主要転帰は,年 1 回の追跡評価における治療成功(Eckardt スコアが 3 以下に低下)とした.副次的転帰は,再治療の必要性,下部食道括約部の圧,食道バリウム造影における一定時間の食道排出能,QOL,合併症発生率などとした.

結 果

201 例をバルーン拡張術群(95 例)または LHM 群(106 例)に無作為に割り付けた.平均追跡期間は 43 ヵ月(95%信頼区間 [CI] 40~47 ヵ月)であった.intention-to-treat 解析では,主要転帰に 2 群間で有意差は認められなかった.治療成功率は,バルーン拡張術群で 1 年後の追跡調査時 90%,2 年後の追跡調査時 86%であったのに対し,LHM 群では 93%,90%であった(P=0.46).2 年後の追跡調査時において,下部食道括約部の圧(LHM 群 10 mmHg [95% CI 8.7~12],バルーン拡張術群 12 mmHg [95% CI 9.7~14],P=0.27),バリウム造影剤柱の高さにより評価した食道排出能(LHM 群 1.9 cm [95% CI 0~6.8],バルーン拡張術群 3.7 cm [95% CI 0~8.8],P=0.21),QOL に,有意な群間差は認められなかった.per-protocol 解析でも同様の結果が得られた.バルーン拡張術施行中の食道穿孔は患者の 4%で発生し,LHM 施行中の粘膜裂傷は 12%で発生した.異常な食道内酸曝露は,バルーン拡張術群の 15%と LHM 群の 23%で認められた(P=0.28).

結 論

2 年後の追跡調査時に,LHM をバルーン拡張術と比較しても,優れた治療成功率は得られなかった.(European Achalasia Trial Netherlands Trial Register 番号:NTR37,Current Controlled Trials 番号:ISRCTN56304564)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 364 : 1807 - 16. )