The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

May 12, 2011 Vol. 364 No. 19

転移性膵癌に対する FOLFIRINOX とゲムシタビンとの比較
FOLFIRINOX versus Gemcitabine for Metastatic Pancreatic Cancer

T. Conroy and Others

背景

転移性膵癌患者に対する第一選択治療としてのオキサリプラチン+イリノテカン+フルオロウラシル+ロイコボリンの併用化学療法レジメン(FOLFIRINOX)の有効性と安全性を,ゲムシタビンと比較したデータはない.

方 法

米国東部癌共同研究グループ(ECOG)の全身状態スコア(0~5,スコアが高いほど重症度が高い)が 0 または 1 の患者 342 例を,FOLFIRINOX 群(2 週間ごとに,オキサリプラチン 85 mg/m2 体表面積,イリノテカン 180 mg/m2,ロイコボリン 400 mg/m2 を点滴静注し,フルオロウラシルは 400 mg/m2 をボーラス投与後 2,400 mg/m2 を 46 時間持続点滴静注)と,ゲムシタビン群(1,000 mg/m2 週 1 回を 8 週間中 7 週間投与し,その後 4 週間中 3 週間投与)のいずれかに無作為に割り付けた.両群とも,反応がみられた患者に対しては 6 ヵ月間の化学療法を推奨した.主要エンドポイントは全生存期間とした.

結 果

全生存期間中央値は,FOLFIRINOX 群では 11.1 ヵ月であったのに対し,ゲムシタビン群では 6.8 ヵ月であった(死亡のハザード比 0.57,95%信頼区間 [CI] 0.45~0.73,P<0.001).無増悪生存期間中央値は,FOLFIRINOX 群では 6.4 ヵ月であり,ゲムシタビン群では 3.3 ヵ月であった(疾患進行のハザード比 0.47,95% CI 0.37~0.59,P<0.001).客観的奏効率は,FOLFIRINOX 群では 31.6%であったのに対し,ゲムシタビン群では 9.4%であった(P<0.001).有害事象は FOLFIRINOX 群のほうが多く,この群の 5.4%で発熱性好中球減少症が認められた.6 ヵ月の時点における QOL の明確な低下は,FOLFIRINOX 群では 31%にみられたのに対し,ゲムシタビン群では 66%にみられた(ハザード比 0.47,95% CI 0.30~0.70,P<0.001).

結 論

FOLFIRINOX には,ゲムシタビンと比較して生存上の利益との関連が認められ,毒性はより強かった.FOLFIRINOX は,全身状態の良好な転移性膵癌患者に対する治療選択肢の一つである.(フランス政府ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00112658)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 364 : 1817 - 25. )