The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

Share

RSS

日本語アブストラクト

January 20, 2011 Vol. 364 No. 3

転移性トリプルネガティブ乳癌に対するイニパリブと化学療法の併用
Iniparib plus Chemotherapy in Metastatic Triple-Negative Breast Cancer

J. O'Shaughnessy and Others

背景

トリプルネガティブ乳癌は,DNA 修復機能に固有の障害を有することから,ポリ(アデノシン二リン酸 [ADP] リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害に基づく治療の標的として妥当である.

方 法

転移性トリプルネガティブ乳癌患者を対象とした非盲検第 2 相試験において,ゲムシタビン+カルボプラチン投与に PARP 阻害活性をもつ低分子化合物イニパリブ(iniparib)を併用する療法と,併用しない療法とで,有効性と安全性を比較した.123 例を,21 日サイクルの 1,8 日目にゲムシタビン(1,000 mg/m2 体表面積)+カルボプラチン(濃度時間曲線下面積 [AUC] 2 に相当する量)を投与するレジメンに,1,4,8,11 日目にイニパリブ(5.6 mg/kg 体重)を併用する群と,併用しない群とに無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,臨床的有効率(すなわち奏効 [完全寛解・部分寛解] または 6 ヵ月以上の安定を認める患者の割合)と安全性とした.追加のエンドポイントは,客観的奏効率,無増悪生存期間,全生存期間などとした.

結 果

ゲムシタビン+カルボプラチンにイニパリブを併用することにより,臨床的有効率は 34%から 56%に改善し(P=0.01),全奏効率は 32%から 52%に改善した(P=0.02).さらに,無増悪生存期間中央値は 3.6 ヵ月から 5.9 ヵ月に延長し(増悪のハザード比 0.59,P=0.01),全生存期間中央値は 7.7 ヵ月から 12.3 ヵ月に延長した(死亡のハザード比 0.57,P=0.01).いずれかの群で高頻度に認められたグレード 3 または 4 の有害事象は,好中球減少症,血小板減少症,貧血,疲労または無力症,白血球減少症,アラニンアミノトランスフェラーゼ値上昇などであった.有害事象の発現率に 2 群間で有意差は認められなかった.

結 論

転移性トリプルネガティブ乳癌患者に対する化学療法にイニパリブを併用することで,臨床的有効性の改善と生存期間の延長が得られ,毒性が有意に増加することはなかった.これらの結果に基づき,全生存期間と無増悪生存期間の評価に十分な検出力を有する第 3 相試験が実施中である.(BiPar Sciences 社 [現在は Sanofi-Aventis 社の子会社] から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00540358)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 364 : 205 - 14. )