The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

June 2, 2011 Vol. 364 No. 22

高リスク手術における病院症例数と手術死亡率の動向
Trends in Hospital Volume and Operative Mortality for High-Risk Surgery

J.F. Finks, N.H. Osborne, and J.D. Birkmeyer

背景

米国ではこの 10 年間,特定の外科手技を経験数の多い病院に集中させるようさまざまな取組みがなされてきた.その結果として,高リスク手術紹介パターンが変化したのかどうか,また手術死亡率にどのような影響がみられたかについては,明らかにされていない.

方 法

全米のメディケアデータを用いて,1999~2008 年に 8 種類の癌手術・心血管手術のいずれか 1 つを受けた患者を検討した.病院症例数と市場集中度を,年間症例数が最高十分位群の病院で手術を受けたメディケア加入患者の割合と定義し,各手技についてその動向を調査した.回帰に基づく手法を用いて,病院症例数と市場集中度が死亡率に及ぼす経時的な影響について,患者特性で補正して評価した.

結 果

病院症例数の中央値は,4 種類の癌切除術(肺癌,食道癌,膵癌,膀胱癌)と腹部大動脈瘤修復術で大幅に増加した.手技によって,病院症例数の多さは,全米的な症例数の増加,市場集中度の上昇のいずれかまたはその両方に起因していた.大動脈弁置換術の病院症例数はわずかに増加したが,冠動脈バイパス術と頸動脈内膜剝離術では低下した.手術死亡率は 8 種類の術式すべてにおいて低下しており,その程度は,頸動脈内膜剝離術の 8%(1999 年の 1.3%が 2008 年は 1.2%に)の相対的低下から,腹部大動脈瘤修復術の 36%(1999 年の 4.4%が 2008 年は 2.8%に)まで幅があった.病院症例数の多さにより,膵切除術,膀胱切除術,食道切除術における死亡率の低下の大部分(それぞれ 67%,37%,32%)が説明されたが,その他の術式における低下は説明されなかった.

結 論

高リスク手術の手術死亡率はこの 10 年間で大幅に低下した.市場集中度の上昇と病院症例数の増加は,一部の高リスク癌手術における死亡率の低下に寄与していたが,その他の手技については大部分が他の要因に起因していた.(米国国立老化研究所から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 364 : 2128 - 37. )