The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

June 2, 2011 Vol. 364 No. 22

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

進行期悪性黒色腫患者に対する gp100 ペプチドワクチンとインターロイキン-2 の併用
gp100 Peptide Vaccine and Interleukin-2 in Patients with Advanced Melanoma

D.J. Schwartzentruber and Others

背景

ワクチンによる癌に対する免疫応答の刺激は,依然として課題である.われわれは,黒色腫ワクチンを免疫活性化物質であるインターロイキン-2 と併用することで転帰が改善されるという仮説を立てた.先行の第 2 相試験では,高用量のインターロイキン-2 と gp100:209-217(210M)ペプチドワクチンを投与した転移性悪性黒色腫患者の奏効率は,インターロイキン-2 を単独で投与した患者で予想される奏効率よりも高かった.

方 法

21 施設 185 例を対象に第 3 相無作為化試験を行った.適格基準は,IV 期または局所進行 III 期の皮膚悪性黒色腫であること,HLAA0201 の発現がみられること,脳転移がないこと,高用量インターロイキン-2 療法に適していることなどとした.患者をインターロイキン-2(720,000 IU/kg 体重/回)を単独で投与する群と,不完全フロイントアジュバント(Montanide ISA-51)を添加した gp100:209-217(210M)を 1 サイクルに 1 回投与したあとにインターロイキン-2 を投与する群のいずれかに無作為に割り付けた.主要エンドポイントは臨床反応とした.副次的エンドポイントは毒性,無増悪生存期間などとした.

結 果

両群の患者背景はよく類似しており,1 サイクルあたりのインターロイキン-2 投与量もほぼ同等であった.毒性はインターロイキン-2 療法で予想されるものと一致していた.ワクチン+インターロイキン-2 群では,インターロイキン-2 単独群と比較して,中央施設で確認された全体的な臨床反応が有意に改善し(16% 対 6%,P=0.03),無増悪生存期間がより長かった(2.2 ヵ月,95%信頼区間 [CI] 1.7~3.9 対 1.6 ヵ月,95% CI 1.5~1.8,P=0.008).全生存期間の中央値も,ワクチン+インターロイキン-2 群のほうがインターロイキン-2 単独群よりも長かった(17.8 ヵ月,95% CI 11.9~25.8 対 11.1 ヵ月,95% CI 8.7~16.3,P=0.06).

結 論

進行期悪性黒色腫患者へのワクチンとインターロイキン-2 の併用投与により,インターロイキン-2 単独投与と比較して奏効率が高く,無増悪生存期間が長くなった.(米国国立がん研究所ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00019682)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 364 : 2119 - 27. )