The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

Share

RSS

日本語アブストラクト

February 17, 2011 Vol. 364 No. 7

特発性膜性腎症における HLA-DQA1 および PLA2R1 リスク対立遺伝子
Risk HLA-DQA1 and PLA2R1 Alleles in Idiopathic Membranous Nephropathy

H.C. Stanescu and Others

背景

特発性膜性腎症は成人におけるネフローゼ症候群の主な原因であるが,その病因的基盤は十分に解明されていない.白人集団を対象に,生検により確定診断された特発性膜性腎症症例の遺伝的基盤を検討した.

方 法

3 つの白人系集団(フランス人 75 例,オランダ人 146 例,英国人 335 例)の特発性膜性腎症患者を対象に,一塩基多型(SNP)に関する独立したゲノムワイド関連研究を行った.人種をマッチさせた対照と比較し,標準的な基準に基づき集団の層別化と質の管理を行った.χ2 検定による基礎的な対立遺伝子検定を用いて関連性を算出した.有意性の閾値は多重比較について補正した(ボンフェローニ法による).

結 果

患者 556 例(男性 398 例)のデータを用いた統合解析では,特発性膜性腎症に関連する 2 つのゲノム遺伝子座に,重要な対立遺伝子が同定された;染色体 2q24 上の,自己免疫応答の標的であることが最近示された,M-type ホスホリパーゼ A2 受容体(PLA2R1)をコードする遺伝子(SNP rs4664308,P=8.6×10-29)と,染色体 6p21 には,HLA 複合体クラス II HLA-DQ α 鎖 1(HLA-DQA1)をコードする遺伝子(SNP rs2187668,P=8.0×10-93).HLA-DQA1 との関連は,3 集団すべてにおいて有意であった(フランス人患者群 P=1.8×10-9,オランダ人患者群 P=5.6×10-27,英国人患者群 P=5.2×10-36).両リスク対立遺伝子のホモ接合体を有する場合,特発性膜性腎症のオッズ比は 78.5(95%信頼区間 34.6~178.2)であった.

結 論

白人系の人においては,染色体 6p21 上の HLA-DQA1 対立遺伝子が,特発性膜性腎症ときわめて密接に関連している.この対立遺伝子によって,PLA2R1 変異体などの標的に対する自己免疫応答が促進される可能性がある.今回の所見から,特発性膜性腎症を理解するための基盤が示唆され,HLA による獲得免疫調節の仕組みが明らかにされた.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 364 : 616 - 26. )