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September 22, 2011 Vol. 365 No. 12

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特発性肺線維症に対するチロシンキナーゼ阻害薬の有効性
Efficacy of a Tyrosine Kinase Inhibitor in Idiopathic Pulmonary Fibrosis

L. Richeldi and Others

背景

特発性肺線維症は,死亡率の高い進行性肺疾患である.いくつかのチロシンキナーゼ受容体によって活性化されるシグナル伝達経路と肺線維症の関連が示されており,それらの受容体の阻害によって特発性肺線維症の進行が遅延する可能性が示唆されている.

方 法

12 ヵ月間の第 2 相試験において,特発性肺線維症患者を対象に,チロシンキナーゼ阻害薬 BIBF 1120 の 4 用量の経口投与をプラセボと比較し,有効性と安全性を評価した.主要エンドポイントは,努力肺活量(FVC)の年間低下率とした.副次的エンドポイントは,急性増悪,QOL(セントジョージ呼吸器質問票 [SGRQ] により評価),全肺気量などとした.

結 果

計 432 例を,BIBF 1120 の 4 用量(50 mg 1 日 1 回,50 mg 1 日 2 回,100 mg 1 日 2 回,150 mg 1 日 2 回)のいずれかを投与する群,プラセボを投与する群に無作為に割り付けた.FVC 低下率は,BIBF 1120 150 mg 1 日 2 回群では 0.06 L/年であったのに対しプラセボ群では 0.19 L/年で,BIBF 1120 により 68.4%抑制された(多重性補正のための閉検定手順による P=0.06,階層的検定手順による P=0.01).急性増悪発生率も,150 mg 1 日 2 回群でプラセボ群よりも低下した(100 患者・年あたり 2.4 例 対 15.7 例,P=0.02).SGRQ スコア(0~100 で,スコアが低いほど QOL が良好であることを示す)は,150 mg 1 日 2 回群でわずかに低下したのに対し,プラセボ群では上昇した(-0.66 対 5.46,P=0.007).150 mg 1 日 2 回群では,消化器症状(150 mg 1 日 2 回群ではプラセボ群より中止例多数)と,肝アミノトランスフェラーゼ値上昇の頻度がプラセボ群よりも高かった.

結 論

特発性肺線維症患者に対する BIBF 1120 150 mg 1 日 2 回投与は,プラセボと比較して肺機能低下が抑制される傾向と関連しており,急性増悪は減少し,QOL は維持された.(Boehringer Ingelheim 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00514683)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 365 : 1079 - 87. )