September 29, 2011 Vol. 365 No. 13
喘息における GLCCI1 とグルココルチコイド療法に対する反応とのゲノムワイドな関連
Genomewide Association between GLCCI1 and Response to Glucocorticoid Therapy in Asthma
K.G. Tantisira and Others
喘息治療に対する反応性には大きな個人差があり,治療に反応しない患者は多数存在する.われわれは,ゲノムワイド関連解析によって,吸入グルココルチコイドに対する反応の新たな薬理遺伝学的決定因子が明らかになるという仮説を立てた.
吸入グルココルチコイドへの反応に伴う肺機能の変化を検討するため,一塩基多型(SNP)534,290 個の中から,家族ベースのスクリーニングアルゴリズムに基づき選択された,少数の統計学的に強力な変異体を解析した.有意かつ再現性のある関連が認められ,その機能的影響を明らかにした.
SNP の rs37972 に有意な薬理遺伝学的関連が同定され,4 つの独立した集団の計 935 人において再現された(P=0.0007).rs37972 は,グルココルチコイド誘導性転写物 1 遺伝子(GLCCI1)に位置し,rs37973 と完全な連鎖不均衡(すなわち完全相関)にある.rs37972 と rs37973 はいずれも GLCCI1 発現の低下に関連している.単離細胞系において,rs37973 の変異体は,ルシフェラーゼレポーター活性の有意な低下に関連している.治療試験からプールしたデータにより,変異型対立遺伝子を有する患者では,吸入グルココルチコイドへの反応に伴う肺機能の低下が示唆された(プールしたデータにおいて P=0.0007).全体では,吸入グルココルチコイド投与を受けた変異型 rs37973 対立遺伝子がホモ接合の患者では,同様の治療を受けた野生型対立遺伝子がホモ接合の患者と比較して,1 秒量増加の平均(±SE)が約 1/3 にすぎず(3.2±1.6% 対 9.4±1.1%),反応不良のリスクが有意に高く(オッズ比 2.36,95%信頼区間 1.27~4.41),この遺伝子型は吸入グルココルチコイド反応における差の全体の約 6.6%を占めた.
喘息患者において,機能的 GLCCI1 変異体は吸入グルココルチコイドに対する反応の著しい低下に関連する.(米国国立衛生研究所ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00000575)