September 29, 2011 Vol. 365 No. 13
免疫グロブリン静脈内投与による新生児敗血症の治療
Treatment of Neonatal Sepsis with Intravenous Immune Globulin
The INIS Collaborative Group
抗菌薬治療にもかかわらず生じる新生児敗血症は,死亡と合併症の主要な原因であり,有効な補助療法が必要とされている.新生児は,内因性の免疫グロブリンが比較的不足している.新生児敗血症の疑い例または確定例に免疫グロブリン静脈内投与を行った試験のメタアナリシスから,全死因死亡率が低下することが示唆されているが,これらの試験は規模が小さく,質にばらつきがみられる.
9 ヵ国の 113 病院で,重篤な感染症が疑われるかまたは確定し,抗菌薬投与を受けている乳児 3,493 例を登録し,多価 IgG 免疫グロブリン(500 mg/kg 体重)群とマッチさせたプラセボ群に無作為に割り付け,48 時間間隔をあけて 2 回点滴投与した.主要転帰は 2 歳の時点での死亡または重度の障害とした.
主要転帰の発生率に 2 群間で有意差は認められず,免疫グロブリン静脈内投与群 1,759 例中 686 例(39.0%),プラセボ群 1,734 例中 677 例(39.0%)であった(相対リスク 1.00,95%信頼区間 0.92~1.08).同様に,その後の敗血症の発生を含む副次的転帰の発生率にも有意差は認められなかった.2 歳の時点での追跡調査では,重度・非重度の障害の発生率,有害事象の発生率に有意差は認められなかった.
新生児敗血症の疑い例または確定例に免疫グロブリン静脈内投与による治療を行っても,転帰に対する効果はみられなかった.(英国医学研究評議会ほかから研究助成を受けた.INIS Current Controlled Trials 番号:ISRCTN94984750)