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December 1, 2011 Vol. 365 No. 22

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移植片対宿主病におけるインターロイキン-2 と制御性 T 細胞
Interleukin-2 and Regulatory T Cells in Graft-versus-Host Disease

J. Koreth and Others

背景

制御性 T(Treg)細胞の機能低下は,慢性移植片対宿主病(GVHD)などのさまざまな炎症性疾患で検出されている.インターロイキン(IL)-2 は,Treg 細胞の成長,生存,活動にきわめて重要である.低用量の IL-2 は,in vivo において Treg 細胞を選択的に増強し,慢性 GVHD の臨床症状を抑制する可能性があるという仮説を立てた.

方 法

観察コホート研究において,グルココルチコイド療法に反応しない慢性 GVHD 患者に対し,低用量 IL-2(0.3×106,1×106,3×106 IU/m2 体表面積のいずれか)の連日皮下投与を 8 週間行った.エンドポイントは,安全性と,臨床的反応・免疫学的反応とした.4 週間の休薬期間後,反応が認められた患者には,IL-2 の延長投与を可能とした.

結 果

29 例を登録した.慢性 GVHD の進行または造血器腫瘍の再発を認めた例はなかった.IL-2 の最大耐用量は 1×106 IU/m2 であった.3 用量のうちもっとも多い 3×106 IU/m2 では,忍容できない全身症状が引き起こされた.反応について評価しえた 23 例のうち,12 例で複数の部位に反応が認められた(major response).CD4+Treg 細胞数は全例で選択的に増加し,4 週の時点での最大中央値はベースライン値の 8 倍を超えたが(P<0.001),CD4+の通常 T(Tcon)細胞に影響はみられなかった.Treg/Tcon 比は増加して,中央値はベースライン値の 5 倍を超えた(P<0.001).Treg 細胞数および Treg/Tcon 比は,8 週の時点でも増加した状態を維持していたが(いずれもベースライン値との比較において P<0.001),IL-2 が投与されなくなると低下した.増加した Treg 細胞は,転写因子であるフォークヘッドボックス P3(FOXP3)を発現し,自己 Tcon 細胞抑制能を示した.IL-2 を延長投与した患者では免疫学的反応・臨床的反応が持続し,グルココルチコイドを平均 60%(25~100%)減量することが可能であった.

結 論

グルココルチコイド療法に反応しない活動性慢性 GVHD を有する患者において,低用量 IL-2 の連日投与を安全に行うことができた.投与に関連して,in vivo における Treg 細胞の選択的・持続的増殖が認められ,患者の多くで慢性 GVHD の症状が改善した.(Dana-Farber Dunkin’ Donuts Rising Star 賞ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00529035)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 365 : 2055 - 66. )