The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

August 4, 2011 Vol. 365 No. 5

CYP24A1 の変異と特発性乳児高カルシウム血症
Mutations in CYP24A1 and Idiopathic Infantile Hypercalcemia

K.P. Schlingmann and Others

背景

くる病予防のためのビタミン D 補給は,医療においてもっとも古く,かつもっとも有効な予防法の一つであり,これにより北米のくる病は事実上根絶された.英国で,ビタミン D 強化乳製品により大量の補給が行われていた 1950 年代に特発性乳児高カルシウム血症の発生率が上昇したこともあり,ビタミン D の毒性作用が示唆され,推奨される至適用量については議論が続いている.われわれは,重症高カルシウム血症,発育不全,嘔吐,脱水,腎石灰化症を特徴とする,特発性乳児高カルシウム血症の分子的基盤を検討した.

方 法

常染色体劣性遺伝が疑われる典型的な特発性乳児高カルシウム血症の家族内発症例のコホート集団において,候補遺伝子アプローチを用いた.ビタミン D 代謝酵素 CYP24A1 をコードする遺伝子に同定された変異を,哺乳類発現系を用いて評価した.

結 果

CYP24A1 は,1,25-ジヒドロキシビタミン D3 分解の鍵となる酵素 25-ヒドロキシビタミン D 24-ヒドロキシラーゼをコードしているが,その配列解析により患児 6 例に劣性変異が明らかになった.さらに,CYP24A1 変異は,ビタミン D の予防的ボーラス投与後に重症高カルシウム血症を発症した乳児から成る第 2 のコホート集団においても同定された.機能的特性解析により,すべての CYP24A1 変異において完全な機能喪失が認められた.

結 論

CYP24A1 変異の存在は,特発性乳児高カルシウム血症患者のビタミン D 感受性の亢進を説明するものであり,変異が存在する以外は見かけ上健康な乳児においては,ビタミン D の予防的投与により誘発されうる症候性高カルシウム血症発症の遺伝的危険因子である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 365 : 410 - 21. )