The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

September 1, 2011 Vol. 365 No. 9

電子カルテと糖尿病ケアの質
Electronic Health Records and Quality of Diabetes Care

R.D. Cebul and Others

背景

既存の研究では,電子カルテの質に関し従来の紙カルテよりも優れた点はほとんど示されていない.われわれは,糖尿病ケアの質に関する基準の達成と向上について,電子カルテを使用している診療施設と紙カルテを使用している診療施設とで比較した.すべての診療施設は,多くのセーフティネットのプライマリケア診療施設を含め,質に関する地域の共同プログラムに参加しており,成績を公表していた.

方 法

電子カルテを用いる診療施設と紙カルテを用いる診療施設のあいだで,糖尿病ケア(4 つの基準要素を含む)および転帰(5 つの基準)に関する複合基準の達成について,共変量による補正およびクラスタリングの考慮を行ったあとに一般化推定方程式を用いてパーセントポイントの差を算出した.患者レベルの共変量には,保険のタイプ(メディケア,民間保険,メディケイド,無保険)だけでなく,人種または民族グループ(白人,黒人,ヒスパニック,その他),年齢,性別,推定世帯収入,教育レベルなどを含めた.解析はサンプル全体とセーフティネットの診療施設についてそれぞれ行った.

結 果

2009 年 7 月から 2010 年 6 月のあいだに,46 診療施設で診察を受けた成人 27,207 例のデータが報告された.38%はセーフティネットの診療施設の患者であった.共変量で補正すると,電子カルテを用いる施設では紙カルテを用いる施設より 35.1 パーセントポイント高く糖尿病ケアの複合基準を達成し(P<0.001),転帰の複合基準は 15.2 パーセントポイント高く達成した(P=0.005).電子カルテを用いる施設では,9 つの基準要素のうち 8 つで達成率が高かった.また,ケアの改善(年間の差 10.2 パーセントポイント,P<0.001)および転帰の改善(年間の差 4.1 パーセントポイント,P=0.02)が大きかった.保険のすべてのタイプについて,電子カルテを用いる施設では,糖尿病ケアにおけるケアと転帰の基準の達成と改善が有意に大きかった.セーフティネットの診療施設に限定した場合の結果も同様であった.

結 論

これらの結果は,電子カルテの有意義な使用を奨励することで,保険のタイプにかかわらずケアの質が改善する可能性があるという連邦政府の方針を裏付けている.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 365 : 825 - 33. )