September 8, 2011 Vol. 365 No. 10
黒人女性における全身肥満・腹部肥満と死亡リスク
General and Abdominal Obesity and Risk of Death among Black Women
D.A. Boggs and Others
最近のプール解析によって,ヨーロッパ系集団では体格指数(BMI,体重 [kg]/身長 [m] 2)が 25.0 以上で,高値になるほど死亡リスクが上昇し,東アジア人ではその関連がより弱く,南アジア人では BMI 増加と死亡リスク上昇とに関連は認められないことが示されている.黒人に関しては,入手可能な限られたデータから,BMI がきわめて高い場合(≧35.0)にのみ死亡リスクが上昇することが示唆されている.
登録時の年齢が 21~69 歳で,癌または心血管疾患の既往がない黒人女性 51,695 人を対象に,BMI および腹囲と死亡リスクとの関連を前向きに評価した.解析は,「黒人女性の健康調査」の 1995~2008 年の追跡調査データをもとに行った.多変量比例ハザードモデルを用いてハザード比と 95%信頼区間を推定した.
追跡期間中に同定された死亡 1,773 例のうち,770 例は喫煙歴のない 33,916 人で発生した.非喫煙者では,死亡リスクは BMI 20.0~24.9 でもっとも低かった.BMI がこの範囲を上回ると,高値になるほど死亡リスクは上昇した.BMI 22.5~24.9 を基準カテゴリーとすると,多変量補正後のハザード比は,BMI 25.0~27.4 で 1.12(95%信頼区間 [CI] 0.87~1.44),27.5~29.9 で 1.31(95% CI 1.01~1.72),30.0~34.9 で 1.27(95% CI 0.99~1.64),35.0~39.9 で 1.51(95% CI 1.13~2.02),40.0~49.9 で 2.19(95% CI 1.62~2.95)であった(傾向性の P<0.001).BMI が 30.0 未満の女性では,腹囲が大きいことが全死因死亡リスクの上昇に関連した.
黒人女性では,BMI が 25.0 以上で,高値になるほど全死因死亡リスクが上昇した.この傾向は白人でみられる傾向と類似している.腹囲は,非肥満女性でのみ死亡リスク上昇に関連すると思われた.(米国国立がん研究所から研究助成を受けた.)