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April 5, 2012 Vol. 366 No. 14

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マラリアに対するピロナリジン・アーテスネート合剤とメフロキン+アーテスネート併用との比較
Pyronaridine-Artesunate versus Mefloquine plus Artesunate for Malaria

R. Rueangweerayut and Others

背景

ピロナリジン・アーテスネート(pyronaridine-artesunate)合剤は,アルテミシニン併用療法に用いられる薬剤の一つで,熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)マラリアと三日熱マラリア原虫(P. vivax)マラリアの治療薬として評価が行われている.

方 法

第 3 相非盲検多施設共同非劣性試験において,顕微鏡で確認された P. falciparum マラリアで,合併症のない 3~60 歳の患者 1,271 例を,アジア(81.3%),アフリカ(18.7%)から組み入れた.患者を,ピロナリジン 180 mg とアーテスネート 60 mg の固定用量合剤を投与する群と,メフロキン 250 mg とアーテスネート 100 mg を併用投与する群のいずれかに無作為に割り付けた.用量は体重に基づいて計算し,1 日 1 回,3 日間投与した.

結 果

ピロナリジン・アーテスネートは,次の主要評価項目についてメフロキン+アーテスネートに対して非劣性であった;28 日目に per-protocol 集団において,ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による遺伝子型決定で再感染について補正後,適切な臨床的・寄生虫学的効果が認められること.この評価項目について,有効率はピロナリジン・アーテスネート群で 99.2%(749 例中 743 例,95%信頼区間 [CI] 98.3~99.7),メフロキン+アーテスネート群で 97.8%(368 例中 360 例,95% CI 95.8~99.1)であり,治療による差は 1.4 パーセントポイント(95% CI 0.0~3.5,P=0.05)であった.intention-to-treat 集団において,42 日目の有効率は,ピロナリジン・アーテスネート群で 83.1%(848 例中 705 例,95% CI 80.4~85.6),メフロキン+アーテスネート群で 83.9%(423 例中 355 例,95% CI 80.1~87.3)であった.カンボジアでは,対象 211 例で,寄生虫クリアランス時間中央値が両治療群で延長し 64 時間であったのに対し,その他の国では 16.0~38.9 時間であった(Kaplan-Meier 推定値に基づく P<0.001).カンボジアでは,intention-to-treat 集団における 42 日目までの再燃率の Kaplan-Meier 推定値は,ピロナリジン・アーテスネート群のほうがメフロキン+アーテスネート群よりも高かったが(10.2% [95% CI 5.4~18.6] 対 0%,log-rank 検定により P=0.04),その他の国の合計と同程度であった(それぞれ 4.7% [95% CI 3.3~6.7],2.8% [95% CI 1.5~5.3],P=0.24).ピロナリジン・アーテスネート群ではアミノトランスフェラーゼ値の上昇が認められた.メフロキン+アーテスネート群の 2 例で痙攣発作が発現した.

結 論

ピロナリジン・アーテスネートの固定用量合剤は,合併症のない P. falciparum マラリアの治療に有効であった.カンボジアにおける寄生虫クリアランス時間の延長から,アルテミシニンに対する in vivo 耐性が示唆された.(Shin Poong Pharmaceutical Company 社,Medicines for Malaria Venture から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00403260)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 366 : 1298 - 309. )