The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

April 5, 2012 Vol. 366 No. 14

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

症候性肺塞栓症治療のためのリバーロキサバンの 経口投与
Oral Rivaroxaban for the Treatment of Symptomatic Pulmonary Embolism

The EINSTEIN-PE Investigators

背景

経口第 Xa 因子阻害薬リバーロキサバン(rivaroxaban)の固定用量レジメンは,深部静脈血栓症の治療において,検査によるモニタリングを必要とせずに標準的な抗凝固療法と同等の効果があることが示されている.このアプローチにより,肺塞栓症の治療が簡便化される可能性もある.

方 法

深部静脈血栓症の有無を問わず,急性症候性肺塞栓症を発症した患者 4,832 例を対象とした無作為化非盲検イベント主導型非劣性試験において,リバーロキサバンを投与する群(15 mg 1 日 2 回を 3 週間,その後は 20 mg 1 日 1 回)と,エノキサパリンを投与しその後用量調整したビタミン K 拮抗薬を投与する標準療法群とを,3 ヵ月間,6 ヵ月間,12 ヵ月間比較した.有効性の主要転帰は,症候性静脈血栓塞栓症の再発とした.安全性の主要転帰は,重大な出血,または重大ではないが臨床的に意義のある出血とした.

結 果

有効性の主要転帰に関して,リバーロキサバン群は標準療法群に対して非劣性であり(非劣性マージン 2.0,P=0.003),イベント発生数はリバーロキサバン群 50 件(2.1%),標準療法群 44 件(1.8%)であった(ハザード比 1.12,95%信頼区間 [CI] 0.75~1.68).安全性の主要転帰は,リバーロキサバン群の 10.3%と標準療法群の 11.4%で認められた(ハザード比 0.90,95% CI 0.76~1.07,P=0.23).重大な出血は,リバーロキサバン群の 26 例(1.1%)と標準療法群の 52 例(2.2%)で認められた(ハザード比 0.49,95% CI 0.31~0.79,P=0.003).その他の有害事象の発現率は両群で同程度であった.

結 論

肺塞栓症の初期治療と長期的治療において,リバーロキサバン単剤の固定用量レジメンは標準療法に対して非劣性であり,利益対リスク特性が改善されている可能性があった.(Bayer HealthCare 社,Janssen Pharmaceuticals 社から研究助成を受けた.EINSTEIN-PE ClinicalTrials.gov 番号:NCT00439777)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 366 : 1287 - 97. )