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April 19, 2012 Vol. 366 No. 16

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米国へ向かう難民におけるアルベンダゾール治療と腸管寄生虫
Albendazole Therapy and Enteric Parasites in United States-Bound Refugees

S.J. Swanson and Others

背景

1999 年 5 月 1 日より,米国疾病対策予防センター(CDC)は,米国に向かう難民の腸管寄生虫感染に対する推定的治療として,出発前に海外でアルベンダゾール(600 mg)の単回投与を行うことを推奨している.

方 法

アフリカ難民と東南アジア難民で,1993~2007 年にミネソタ州に定住した際に便の顕微鏡検査によって腸管寄生虫のスクリーニングを受けた 26,956 人を対象に,後ろ向きコホート研究を行った.CDC が出発前の推定的アルベンダゾール治療を推奨する前に移住した難民と,推奨後に移住した難民とで,腸管寄生線虫,住血吸虫種,ジアルジア,エントアメーバの補正保有率を算出し比較した.

結 果

未治療の難民 4,370 人では,20.8%が糞線虫を少なくとも 1 種類有しており,鉤虫(9.2%)がもっとも頻度が高かった.アルベンダゾール治療を受けた難民 22,586 人では,線虫を 1 種類以上有していたのは 4.7%のみで,鞭虫(3.9%)がもっとも頻度が高かった.性別,年齢,地域で補正すると,アルベンダゾール治療を受けた難民は,未治療の難民よりも,線虫(保有率比 0.19),回虫(保有率比 0.06),鉤虫(保有率比 0.07),鞭虫(保有率比 0.27)を有する頻度が低かったが,ジアルジア,エントアメーバを有する頻度は低くなかった.住血吸虫卵はアフリカ難民にのみ検出され,アルベンダゾール治療を受けた難民のほうが保有率が低かった(保有率比 0.60).アルベンダゾールプロトコール導入後,アフリカ難民 17,011 人で頻度の高かった病原体は,ジアルジア(5.7%),鞭虫(5.0%),住血吸虫(1.8%)であり,東南アジア難民 5,575 人では,ジアルジアのみが保有率が高いままであった(17.2%に存在).アルベンダゾールの使用に関連する重篤な有害事象は報告されなかった.

結 論

米国に向けて出発する前に海外で行う推定的アルベンダゾール治療は,新たにやってきたアフリカ難民と東南アジア難民における腸管寄生線虫の保有率の低下と関連していた.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 366 : 1498 - 507. )