多発性骨髄腫に対する幹細胞移植後のレナリドミド維持療法
Lenalidomide Maintenance after Stem-Cell Transplantation for Multiple Myeloma
M. Attal and Others
65 歳未満の多発性骨髄腫患者に対しては,自家幹細胞移植を併用する大量化学療法が標準治療となっている.移植後はほぼ必ず残存病変が存在し再発の原因となる.この第 3 相プラセボ対照試験では,移植後のレナリドミドによる維持療法の有効性を検討した.
第一選択の移植後,進行性病変を認めない 65 歳未満の患者 614 例を,維持療法として,再発するまで,レナリドミドを投与する群(最初の 3 ヵ月間は 10 mg/日で,忍容性がある場合には 15 mg に増量)とプラセボを投与する群に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは無増悪生存期間とした.
レナリドミド維持療法群では,無増悪生存期間中央値が改善した(41 ヵ月に対しプラセボ群 23 ヵ月,ハザード比 0.50,P<0.001).この有益性は,β2-ミクログロブリン値に基づくサブグループ,細胞遺伝学的プロファイルに基づくサブグループ,移植後の反応に基づくサブグループなど,すべての患者サブグループで認められた.追跡期間中央値は 45 ヵ月で,両群とも 70%を超える患者が 4 年の時点で生存していた.グレード 3 または 4 の末梢神経障害の発生率は両群で同程度であった.二次原発癌の発生率は,レナリドミド群で 100 患者・年あたり 3.1 であったのに対し,プラセボ群では 100 患者・年あたり 1.2 であった(P=0.002).レナリドミド群では,無イベント生存期間(イベントには二次原発癌が含まれる)の中央値が有意に改善した(40 ヵ月に対しプラセボ群 23 ヵ月,P<0.001).
移植後のレナリドミド維持療法により,多発性骨髄腫患者の無増悪生存期間と無イベント生存期間が有意に延長した.無作為化から 4 年の時点における全生存期間は両群で同程度であった.(臨床研究病院プログラムほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00430365)