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January 26, 2012 Vol. 366 No. 4

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PLCG2 の欠失に関連した寒冷蕁麻疹,免疫不全,自己免疫
Cold Urticaria, Immunodeficiency, and Autoimmunity Related to PLCG2 Deletions

M.J. Ombrello and Others

背景

免疫制御異常のメンデル式解析により,生体防御と免疫寛容に関連する分子経路に対する洞察を得ることができる.

方 法

寒冷蕁麻疹,抗体欠損,感染・自己免疫に対する感受性の 3 つの形質が優性遺伝している 3 家族を同定した.免疫表現型の検討には,フローサイトメトリー,血清中の免疫グロブリンと自己抗体の分析,リンパ球刺激試験,酵素測定法などを用いた.遺伝学的検討には,連鎖解析,標的領域のサンガー法による塩基配列決定,次世代全ゲノム配列決定などを用いた.

結 果

寒冷蕁麻疹は罹患者全例に発現した.そのほか,アトピー,肉芽腫性の発疹,自己免疫性甲状腺炎,抗核抗体の存在,副鼻腔・肺感染,高頻度で多様な免疫不全症などのさまざまな症状が認められた.IgM および IgA の血清中濃度と,血中のナチュラルキラー細胞数およびクラススイッチした記憶 B 細胞数は減少していた.連鎖解析から,1 家族で染色体 16q に 7 Mb の候補領域が示されたが,これはより少人数の 1 家族における疾患関連ハプロタイプと 3.5 Mb 重複していた.この領域には,B 細胞,ナチュラルキラー細胞,肥満細胞で発現するシグナル伝達分子のホスホリパーゼ Cγ2(PLCγ2)をコードする PLCG2 が含まれている.相補的 DNA の塩基配列決定から,2 家族ではエクソン 19 が欠失した,残り 1 家族ではエクソン 20~22 が欠失したヘテロ接合型の転写産物があることが明らかとなった.ゲノム配列決定により,疾患とともに分離される 3 つのインフレーム欠失が同定された.自己疎外ドメインをコードする領域内に存在するこれらの欠失により,恒常的なホスホリパーゼ活性を示す蛋白産物ができる.PLCG2 発現細胞の細胞内シグナル伝達は,37℃では抑制されていたが,生理的温度を下回る温度では亢進していた.

結 論

PLCG2 のゲノム欠失により PLCγ2 の機能獲得が起こり,複数の白血球サブセットでのシグナル伝達異常と,免疫機能の過剰または低下を伴う表現型をもたらす.(米国国立衛生研究所内部研究プログラムほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 366 : 330 - 8. )