The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

February 9, 2012 Vol. 366 No. 6

出産前の甲状腺スクリーニングと小児期の認知機能
Antenatal Thyroid Screening and Childhood Cognitive Function

J.H. Lazarus and Others

背景

甲状腺ホルモン値が低い女性から生まれた子どもは認知機能が低下していることが報告されている.

方 法

無作為化試験において,妊娠期間が 15 週 6 日以内の女性から血液検体の提供を受け,甲状腺刺激ホルモンと遊離サイロキシン(T4)を測定した.女性を,スクリーニング群(ただちに測定を行う)と,対照群(血清を保存し出産後に測定を行う)に割り付けた.甲状腺刺激ホルモン値が 97.5 パーセンタイルを超えるか,遊離 T4 値が 2.5 パーセンタイル未満,あるいはその両方の場合にスクリーニング陽性とした.スクリーニング群で陽性であった女性を,レボチロキシン 150 μg/日投与に割り付けた.主要転帰は,スクリーニング陽性の女性から出生した児の 3 歳時の IQ とした.IQ は群の割付けを知らない心理学者が測定した.

結 果

血液検体を提供した女性 21,846 人(妊娠期間中央値 12 週 3 日)のうち,スクリーニング群の 390 人と対照群の 404 人がスクリーニング陽性であった.レボチロキシン治療開始時の妊娠期間中央値は 13 週 3 日であった.用量は甲状腺刺激ホルモンの目標値 0.1~1.0 mIU/L を達成するため必要に応じて調節した.スクリーニング陽性の女性から出生した児において,平均 IQ スコアは,スクリーニング群で 99.2,対照群で 100.0 であった(差 0.8,95%信頼区間 [CI] -1.1~2.6,intention-to-treat 解析により P=0.40).IQ 85 未満の児の割合は,スクリーニング群 12.1%,対照群 14.1%であった(差 2.1 パーセントポイント,95% CI -2.6~6.7,P=0.39).on-treatment 解析でも同様の結果が示された.

結 論

出産前のスクリーニング(妊娠期間中央値 12 週 3 日で実施)と母親の甲状腺機能低下症に対する治療を行っても,児の 3 歳時の認知機能は改善されなかった.(英国の Wellcome Trust,トリノの Compagnia di San Paulo から研究助成を受けた.Current Controlled Trials 番号:ISRCTN46178175)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 366 : 493 - 501. )