The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

February 9, 2012 Vol. 366 No. 6

記憶の増強と嗅内野の脳深部刺激
Memory Enhancement and Deep-Brain Stimulation of the Entorhinal Area

N. Suthana and Others

背景

海馬や嗅内皮質などの側頭葉内側部構造は,日々の経験を長期記憶に変換する能力にきわめて重要である.海馬または嗅内皮質の脳深部刺激によって,記憶成績が変化するという仮説を検証した.

方 法

てんかん患者 7 例を対象に,後に行う手術に向けててんかん焦点を同定するため頭蓋内に電極を留置した.患者は,仮想環境で目的地までの空間を学習する課題を終了した.学習結果試験の半分で,後発射(すなわち刺激の停止後に発生するニューロンの放電)閾値より低い局所電気刺激を与えた.

結 果

患者が目標の位置を学習中に与えられた嗅内皮質刺激によって,これらの位置に関する記憶が増強された.患者は,刺激なしで位置を学習した場合と比べて,より迅速に,より短い経路で目標に到達した.嗅内皮質刺激によって θ 波相がリセットされることも海馬脳波から示された.海馬に対する直接刺激に効果はみられなかった.今回の少数症例では,手技に関連する有害事象は認められなかった.

結 論

学習中に嗅内野に刺激を与えることにより,空間情報の記憶が増強された.(米国国立衛生研究所,Dana 財団から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 366 : 502 - 10. )