難治性再生不良性貧血におけるエルトロンボパグと造血能の改善
Eltrombopag and Improved Hematopoiesis in Refractory Aplastic Anemia
M.J. Olnes and Others
免疫介在性の骨髄低形成と汎血球減少を特徴とする重症再生不良性貧血には,免疫抑制療法または同種移植による治療が有効である.患者の 1/3 は免疫抑制療法に抵抗性で,持続性かつ重度の血球減少と,造血幹細胞・前駆細胞の著しい不足がみられる.トロンボポエチンは,造血幹細胞・前駆細胞数を増加させる可能性がある.
免疫抑制療法抵抗性の再生不良性貧血患者を対象に,経口トロンボポエチン作用薬エルトロンボパグ(Promacta)によって血球数が改善するかどうかを検討する第 2 相試験を行った.25 例に,エルトロンボパグを 1 日 50 mg,必要に応じて最大 150 mg まで増量可能とし,12 週間投与した.主要エンドポイントは,血球数の臨床的に有意な変化,または輸血非依存性となることとした.効果が認められた患者にはエルトロンボパグ投与を継続した.
25 例中 11 例(44%)において,12 週の時点で,1 系統以上の血球に血液学的効果が認められ,毒性作用は最小限であった.9 例では,血小板輸血が不要になった(血小板数の増加の中央値 44,000/mm3).6 例でヘモグロビン値が改善し(上昇の中央値 4.4 g/dL),このうち 3 例は,それまで赤血球輸血に依存していたのが,輸血不要になった.9 例で好中球数が増加した(増加の中央値 1,350/mm3).経時的な連続骨髄生検により,効果が認められた患者では,3 系統の造血の正常化が示され,線維化の増加は伴わなかった.免疫機能モニタリングでは,一貫した変化は認められなかった.
エルトロンボパグを用いた治療により,難治性の重症再生不良性貧血患者の一部において,複数系統の血球に臨床効果が認められた.(米国国立心臓・肺・血液研究所から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00922883)