The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

September 27, 2012 Vol. 367 No. 13

小児心臓手術後の厳格な血糖コントロールと標準治療との比較
Tight Glycemic Control versus Standard Care after Pediatric Cardiac Surgery

M.S.D. Agus and Others

背景

いくつかの試験において,インスリンを用いた厳格な血糖コントロールにより心臓手術を受けた成人の転帰が改善されたが,重症小児の場合,高インスリン血症性低血糖症のリスクがあるため利益は明らかにされていない.われわれは,厳格な血糖コントロールにより小児心臓手術後の合併症有病率が低下するという仮説を検証した.

方 法

2 施設前向き無作為化試験において,人工心肺を用いる手術を施行する予定の生後 0~36 ヵ月の児 980 例を登録した.患児を,心臓集中治療室(ICU)において厳格な血糖コントロール(血糖値 80~110 mg/dL [4.4~6.1 mmol/L] を目標とするインスリン投与アルゴリズムを使用)を行う群と,標準治療を行う群に無作為に割り付けた.血糖値測定の頻度の指標として,また切迫する低血糖の発見を目的として,持続血糖モニタリングを行った.主要転帰は心臓 ICU における医療関連感染の発生率とした.副次的転帰は死亡率,心臓 ICU 入室期間,臓器不全,低血糖などとした.

結 果

インスリン投与を受けたのは,厳格な血糖コントロール群では 490 例中 444 例(91%)であったのに対し,標準治療群では 490 例中 9 例(2%)であった.正常血糖は厳格な血糖コントロール群のほうが標準治療群よりも早く得られ(6 時間 対 16 時間,P<0.001),重症期間中に正常血糖が維持された期間の割合も大きかったが(50% 対 33%,P<0.001),厳格な血糖コントロールと医療関連感染の発生率の有意な低下との関連は認められなかった(1,000 患者・日あたり 8.6 対 9.9,P=0.67).副次的転帰には群間で有意差がなく,厳格な血糖コントロールによる高リスクのサブグループへの有益性は認められなかった.重症低血糖(血糖値<40 mg/dL [2.2 mmol/L])は厳格な血糖コントロール群の 3%のみに認められた.

結 論

小児心臓手術後,厳格な血糖コントロールは低血糖発生率が低いままに達成可能であるが,標準治療と比較して,感染率,死亡率,心臓 ICU 入室期間,臓器不全の指標に有意な変化をもたらさない.(米国国立心臓・肺・血液研究所ほかから研究助成を受けた.SPECS ClinicalTrials.gov 番号:NCT00443599)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 367 : 1208 - 19. )