The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

October 4, 2012 Vol. 367 No. 14

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

C 反応性蛋白,フィブリノゲン,心血管疾患の予測
C-Reactive Protein, Fibrinogen, and Cardiovascular Disease Prediction

The Emerging Risk Factors Collaboration

背景

最初の心血管イベントを予測するために,C 反応性蛋白(CRP)や他の炎症バイオマーカーの値を評価することの有用性については議論がある.

方 法

52 の前向き研究の,心血管疾患の既往のない 246,669 人のデータを解析し,心血管リスクを予測するために,従来の危険因子に CRP 値またはフィブリノゲン値を追加することの有用性を検討した.追跡期間中のリスクの判別と再分類の評価尺度を算出し,CRP またはフィブリノゲンを評価後にスタチン療法を開始することの臨床的意義をモデル化した.

結 果

年齢,性別,喫煙状況,血圧,糖尿病の既往,総コレステロール値を含む心血管疾患の予後予測モデルに高比重リポ蛋白コレステロールの情報を追加すると,リスク判別の評価尺度である C 統計量が 0.0050 上昇した.このモデルに,さらに CRP またはフィブリノゲンの情報を追加すると,C 統計量はそれぞれ 0.0039 および 0.0027 上昇し(P<0.001),予測 10 年リスクの分類が「低」(10%未満),「中」(10%以上 20%未満),「高」(20%以上)における全体的な再分類の改善率は,それぞれ 1.52%と 0.83%となった(両比較について P<0.02).従来の危険因子のみを用いてリスクを算出した場合,40 歳以上の成人 100,000 人中 15,025 人が最初に中リスクに分類されると推定された.成人治療委員会(Adult Treatment Panel)III ガイドラインに従って(すなわち予測リスクが 20%以上である人と,予測される 10 年リスクを問わず糖尿病などの他の特定の危険因子を有する人を対象に)スタチン療法が開始されたと仮定すると,残りの中リスクの 13,199 人での CRP 値またはフィブリノゲン値に標的を定めた追加的な評価によって,10 年間で心血管イベントをさらに約 30 件回避できる可能性がある.

結 論

既知の心血管疾患がない人々の研究において,現行の治療ガイドラインのもと,心血管イベントについて中リスクの人々を対象に CRP 値またはフィブリノゲン値の評価を行うことで,スクリーニングを行う 400~500 人ごとに,イベントを 10 年間に 1 件回避するのに役立つ可能性がある.(英国心臓財団ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 367 : 1310 - 20. )