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November 15, 2012 Vol. 367 No. 20

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集中治療での輸液蘇生に用いるヒドロキシエチルデンプンと生理食塩水との比較
Hydroxyethyl Starch or Saline for Fluid Resuscitation in Intensive Care

J.A. Myburgh and Others

背景

輸液蘇生に用いるヒドロキシエチルデンプン(HES)の安全性と有効性は十分に評価されておらず,生存と腎機能への有害作用が報告されている.

方 法

集中治療室(ICU)に入室した患者 7,000 例を,ICU 退室,死亡,無作為化後 90 日のいずれかまで行うすべての輸液蘇生に対して,分子量 130 kD,モル置換比 0.4 の 6% HES(130/0.4,Voluven)を 0.9%塩化ナトリウム水溶液に混合して用いる群と,0.9%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)のみを用いる群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要転帰は 90 日以内の死亡とした.副次的転帰は,急性腎障害・腎不全,腎代替療法による治療などとした.

結 果

HES 群の 3,315 例中 597 例(18.0%)と生理食塩水群の 3,336 例中 566 例(17.0%)が死亡した(HES 群の相対リスク 1.06,95%信頼区間 [CI] 0.96~1.18,P=0.26).事前に定義した 6 つのサブグループにおいて,死亡率に有意差は認められなかった.腎代替療法は,HES 群の 3,352 例中 235 例(7.0%)と生理食塩水群の 3,375 例中 196 例(5.8%)で用いられた(相対リスク 1.21,95% CI 1.00~1.45,P=0.04).HES 群と生理食塩水群で,腎障害はそれぞれ 34.6%と 38.0%に発生し(P=0.005),腎不全はそれぞれ 10.4%と 9.2%に発生した(P=0.12).HES は,有害事象が有意に多いことに関連した(5.3% 対 2.8%,P<0.001).

結 論

ICU の患者において,6% HES(130/0.4)で蘇生を受けた群と,生理食塩水で蘇生を受けた群とのあいだで 90 日死亡率に有意差は認められなかった.しかし,HES で蘇生を受けた患者のほうが,腎代替療法による治療を受ける例が多かった.(オーストラリア国立保健医療研究評議会ほかから研究助成を受けた.CHEST ClinicalTrials.gov 番号:NCT00935168)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 367 : 1901 - 11. )