The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

November 15, 2012 Vol. 367 No. 20

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

重度の知的障害者における診断的エクソーム塩基配列決定
Diagnostic Exome Sequencing in Persons with Severe Intellectual Disability

J. de Ligt and Others

背景

知的障害の原因は,臨床的・遺伝学的に広範な不均一性のためにほとんど解明されていない.

方 法

知的障害者に対して,既知の原因を除外するための評価を行った.次に,IQ が 50 未満の患者 100 例とその障害をもたない親から得た 21,000 以上の遺伝子のコード領域の配列決定を行った.新規(de novo)変異,常染色体劣性変異,および X 連鎖変異を同定・分類するためのデータ解析手順を作成した.さらに,ハイスループットのリシーケンシングを用いて,知的障害者 765 例(検証群)で新規の候補遺伝子を確認した.すべての変異を,分子遺伝学者と臨床医が,患者の臨床症状との関連で評価した.

結 果

100 例中 53 例で 79 の de novo 変異が同定された.既知の知的障害遺伝子の機能を障害することがすでに予測されていた 10 の de novo 変異と,3 つの X 連鎖(母親から遺伝)変異が 13 例で発見された.原因となる可能性のある新規候補遺伝子の de novo 変異が 22 例で検出された.検証群で類似した表現型を呈する患者において,これら候補遺伝子の 3 つでさらに別の de novo 変異が同定され,これらの遺伝子の変異が知的障害の原因であることの支持が得られた.発見群では,原因となる常染色体劣性遺伝性変異は検出されなかった.したがって,総合診断率は 16%で,ほとんどは de novo 変異が関与するものであった.

結 論

de novo 変異は知的障害の重要な原因である.エクソーム塩基配列決定は,その検出に有効な診断戦略であった.(欧州連合ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 367 : 1921 - 9. )