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July 19, 2012 Vol. 367 No. 3

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限局性前立腺癌に対する根治的前立腺全摘除術と経過観察との比較
Radical Prostatectomy versus Observation for Localized Prostate Cancer

T.J. Wilt and Others

背景

前立腺特異抗原(PSA)検査で限局性前立腺癌が発見された男性において,手術と経過観察の相対的有効性は明らかにされていない.

方 法

1994 年 11 月~2002 年 1 月に,限局性前立腺癌の男性 731 例(平均 67 歳,PSA 値中央値 7.8 ng/mL)を,根治的前立腺全摘除術群と経過観察群に無作為に割り付け,2010 年 1 月まで追跡調査した.主要転帰は全死因死亡率,副次的転帰は前立腺癌死亡率とした.

結 果

追跡期間中央値 10.0 年のあいだに,根治的前立腺全摘除術群では 364 例中 171 例(47.0%)が死亡したのに対し,経過観察群では 367 例中 183 例(49.9%)が死亡した(ハザード比 0.88,95%信頼区間 [CI] 0.71~1.08,P=0.22,絶対リスク減少 2.9 パーセントポイント).根治的前立腺全摘除術群では 21 例(5.8%)が前立腺癌または治療によって死亡したのに対し,経過観察群では 31 例(8.4%)が死亡した(ハザード比 0.63,95% CI 0.36~1.09,P=0.09,絶対リスク減少 2.6 パーセントポイント).年齢,人種,併存疾患,患者評価による全身状態,腫瘍の組織学的特徴によって,治療が全死因死亡率と前立腺癌死亡率に及ぼす影響に差は認められなかった.根治的前立腺全摘除術は,PSA 値が 10 ng/mL を超えていた男性の全死因死亡率の低下に関連し(交互作用について P=0.04),中リスクまたは高リスク腫瘍の男性においても関連する可能性が認められた(交互作用について P=0.07).術後 30 日以内の有害事象は 21.4%に発生し,1 例が死亡した.

結 論

PSA 検査が普及した初期に限局性前立腺癌が発見された男性では,根治的前立腺全摘除術により,最短 12 年の追跡期間において,全死因死亡率・前立腺癌死亡率は経過観察と比較して有意には低下しなかった.絶対差は 3 パーセントポイント未満であった.(米国退役軍人局共同研究プログラムほかから研究助成を受けた.PIVOT ClinicalTrials.gov 番号:NCT00007644)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 367 : 203 - 13. )