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July 19, 2012 Vol. 367 No. 3

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ANCA 関連血管炎の遺伝学的に異なるサブセット
Genetically Distinct Subsets within ANCA-Associated Vasculitis

P.A. Lyons and Others

背景

抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎は,多発血管炎を伴う肉芽腫症(かつてはウェゲナー肉芽腫症といわれた)と,顕微鏡的多発血管炎という 2 つの主な症候群がみられる重症疾患である.病因は不明であり,単一の疾患概念であるのかどうか,そして ANCA が病因にどのような役割を担っているのかについては議論がある.この疾患の遺伝学的基盤について検討した.

方 法

ANCA 関連血管炎を有する英国人患者 1,233 例と対照 5,884 例の発見コホートを対象にゲノムワイド関連解析を行い,北欧人患者 1,454 例と対照 1,666 例を対象に再現性を確認した.標準的な基準に基づき,質的管理,集団の層別化,統計解析を行った.

結 果

ANCA 関連血管炎には主要組織適合遺伝子複合体(MHC)と非 MHC の両方が関連していること,そして多発血管炎を伴う肉芽腫症と顕微鏡的多発血管炎とは遺伝学的に異なることが明らかになった.もっとも強い遺伝学的関連は,臨床症候群ではなく,ANCA の抗原特異性に認められた.抗プロテイナーゼ 3 ANCA は,HLA-DP と,α1 抗トリプシン(SERPINA1),プロテイナーゼ 3(PRTN3)をコードする遺伝子と関連していた(それぞれ P=6.2×10-89,P=5.6×10-12,P=2.6×10-7).抗ミエロペルオキシダーゼ ANCA は HLA-DQ と関連していた(P=2.1×10-8).

結 論

この研究により,ANCA 関連血管炎の病因には遺伝学的要素があることが確認され,多発血管炎を伴う肉芽腫症と顕微鏡的多発血管炎とのあいだには,ANCA の特異性と関連する遺伝学的な差異があることが示され,また,自己抗原プロテイナーゼ 3 に対する反応がプロテイナーゼ 3 ANCA 関連血管炎の病因の中心的特徴であることが示唆された.これらのデータは,プロテイナーゼ 3 ANCA 関連血管炎とミエロペルオキシダーゼ ANCA 関連血管炎は,異なる自己免疫症候群であるという概念を予備的に支持するものである.(英国心臓財団ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 367 : 214 - 23. )