ボツワナにおける HIV 異性間伝播に対する曝露前の抗レトロウイルス薬予防的投与
Antiretroviral Preexposure Prophylaxis for Heterosexual HIV Transmission in Botswana
M.C. Thigpen and Others
男性と性交渉をもつ男性では,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)曝露前の抗レトロウイルス薬の予防的投与により HIV の伝播が減少することが示されているが,異性間での有効性は不明である.
HIV 血清反応陰性の男女を,テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩・エムトリシタビン合剤(TDF–FTC),またはマッチするプラセボに無作為に割り付け,1 日 1 回投与した.月 1 回の来院が予定され,参加者は,HIV 検査,服薬遵守に関するカウンセリング,性感染症の管理,有害事象のモニタリング,リスク低減に関する個別カウンセリングを含む,包括的な予防サービスを受けた.サブグループを対象に半年ごとに骨密度検査を実施した.
男女計 1,219 人(女性 45.7%)を無作為化し,1,563 人年(中央値 1.1 年,最大値 3.7 年)追跡した.参加継続の低さと遂行上の限界のため,試験を早期に終了させ,登録を拡大せずに,規定した試験終了まで参加者を追跡した.TDF–FTC 群は,プラセボ群よりも悪心(18.5% 対 7.1%,P<0.001),嘔吐(11.3% 対 7.1%,P=0.008),浮動性めまい(15.1% 対 11.0%,P=0.03)の発生率が高かったが,重篤な有害事象の発生率は同等であった(P=0.90).TDF–FTC 投与を受けた参加者は,プラセボ投与を受けた参加者と比較して,骨密度に有意な低下が認められた.TDF–FTC 群で,登録時に急性 HIV 感染が確認されていなかった 1 人において,K65R,M184V,A62V 耐性変異が出現した.試験中に感染した 33 人(TDF–FTC 群 9 人,プラセボ群 24 人;100 人年あたりの感染はそれぞれ 1.2 件,3.1 件)を含む修正 intention-to-treat 解析において,TDF–FTC の有効性は 62.2%(95%信頼区間 21.5~83.4,P=0.03)であった.
性的活動のある異性愛者の成人に対する TDF–FTC の 1 日 1 回の予防的投与により,HIV 感染が予防された.骨密度への影響を含む長期的な安全性は依然として不明である.(米国疾病対策予防センターおよび米国国立衛生研究所から研究助成を受けた.TDF2 ClinicalTrials.gov 番号:NCT00448669)