The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

August 16, 2012 Vol. 367 No. 7

硝子体黄斑牽引と黄斑円孔に対するオクリプラスミンを用いた酵素的硝子体融解
Enzymatic Vitreolysis with Ocriplasmin for Vitreomacular Traction and Macular Holes

P. Stalmans and Others

背景

硝子体黄斑癒着は,病理学的な牽引と黄斑円孔をもたらす可能性がある.重度の症候性硝子体黄斑癒着に対する標準治療は,硝子体切除術である.オクリプラスミン(ocriplasmin)は,硝子体網膜界面の構成成分であるフィブロネクチンとラミニンに対して活性をもつ,遺伝子組換えプロテアーゼである.

方 法

2 件の多施設共同無作為化二重盲検第 3 相臨床試験において,症候性硝子体黄斑癒着の患者を対象に,オクリプラスミン(125 μg)の単回硝子体内注射をプラセボ注射と比較した.主要エンドポイントは,28 日の時点での硝子体黄斑癒着の解離とした.副次的エンドポイントは,28 日の時点での完全後部硝子体剝離と黄斑円孔の非外科的閉鎖,硝子体切除術の回避,最高矯正視力の変化とした.

結 果

全体で 652 眼に治療を行い,464 眼にオクリプラスミン,188 眼にプラセボを投与した.硝子体黄斑癒着は,オクリプラスミン投与眼の 26.5%と,プラセボ投与眼の 10.1%で解離した(P<0.001).完全後部硝子体剝離は,オクリプラスミン投与眼で,プラセボ投与眼よりも多く認められた(13.4% 対 3.7%,P<0.001).黄斑円孔の非外科的閉鎖は,オクリプラスミン投与眼の 40.6%で達成されたのに対し,プラセボ投与眼では 10.6%であった(P<0.001).最高矯正視力について,視力表で 3 段以上の改善が得られた割合は,オクリプラスミン群のほうがプラセボ群よりも高かった.眼の有害事象(患者報告による飛蚊症・光視症・注射に関連する眼痛や,結膜出血など)は,オクリプラスミン投与眼の 68.4%とプラセボ投与眼の 53.5%に発生し(P<0.001),重篤な眼の有害事象の発生率は,2 群で同程度であった(P=0.26).

結 論

硝子体融解薬オクリプラスミンの硝子体内注射によって,プラセボ注射と比較して,有意に多くの患者で硝子体黄斑牽引が解消し,黄斑円孔が閉鎖した.また,眼の有害事象の発生率の上昇に関連したが,そのほとんどは一過性であった.(ThromboGenics 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00781859,NCT00798317)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 367 : 606 - 15. )