The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

May 30, 2013 Vol. 368 No. 22

抗凝固療法を中断せずに行うペースメーカーまたは除細動器の植込み手術
Pacemaker or Defibrillator Surgery without Interruption of Anticoagulation

D.H. Birnie and Others

背景

ペースメーカーまたは植込み型除細動器(ICD)の手術が必要な患者の多くは,ワルファリンの投与を受けている.血栓塞栓イベントのリスクが高い患者については,ガイドラインではヘパリンを用いた橋渡し治療が推奨されている.一方,症例集積研究からは,ワルファリン療法を中断せずに手術を行っても安全である可能性が示唆されている.この方法の安全性と有効性を支持する結果が得られた臨床試験はほとんどない.

方 法

血栓塞栓イベントの年間リスクが 5%以上の患者を,ワルファリン療法を継続する群と,ヘパリンを用いた橋渡し治療を行う群に無作為に割り付けた.主要転帰は臨床的に重要なデバイスポケット血腫とし,入院期間の延長,抗凝固療法の中断,さらなる手術(血腫除去など)のいずれかを要するデバイスポケット血腫と定義した.

結 果

データ・安全性モニタリング委員会は,事前に規定した 2 回目の中間解析後,試験の中止を勧告した.臨床的に重要なデバイスポケット血腫は,ワルファリン継続群では 343 例中 12 例(3.5%)に発生したのに対し,ヘパリン橋渡し群では 338 例中 54 例(16.0%)に発生した(相対リスク 0.19,95%信頼区間 0.10~0.36,P<0.001).重大な手術合併症,血栓塞栓性合併症はまれであり,2 群間で有意差は認められなかった.重大な合併症として,ヘパリン橋渡し群の心タンポナーデ 1 件,心筋梗塞 1 件,ワルファリン継続群の脳卒中 1 件,一過性脳虚血発作 1 件があった.

結 論

ペースメーカーまたは ICD の植込み手術時にワルファリン療法を継続する戦略により,ヘパリンを用いた橋渡し治療と比較して,臨床的に重要なデバイスポケット血腫の発生率が顕著に低下した.(カナダ保健研究機構,オンタリオ州保健長期介護省から研究助成を受けた.BRUISE CONTROL ClinicalTrials.gov 番号:NCT00800137)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 368 : 2084 - 93. )