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May 30, 2013 Vol. 368 No. 22

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早産児の酸素飽和度と転帰
Oxygen Saturation and Outcomes in Preterm Infants

The BOOST II United Kingdom, Australia, and New Zealand Collaborative Groups

背景

早産児における酸素飽和度の臨床的に適切な範囲は不明である.先行研究では,酸素飽和度の目標値を低く設定すると,未熟児網膜症の発症率が低下することが示されている.

方 法

3 つの多国間無作為化比較対照試験で,在胎 28 週未満で出生した乳児における酸素飽和度の目標値を 85~89%とした場合に,2 年の時点で無障害生存率に及ぼす影響を,目標値を 91~95%とした場合と比較検討した.試験の途中で,酸素飽和度計の較正アルゴリズムが改訂された.中間解析で,36 週の時点での死亡率が酸素飽和度目標値の低い群では高いことが示され,募集は早期に中止された.プールした患児のデータを解析したので,退院時の転帰について報告する.

結 果

乳児 2,448 例を募集した.改訂された酸素飽和度計の較正アルゴリズムを用いた乳児 1,187 例では,死亡率は目標値の低い群のほうが高い群よりも有意に高かった(23.1% 対 15.9%,目標値の低い群の相対リスク 1.45,95%信頼区間 [CI] 1.15~1.84,P=0.002).死亡率には,改訂前のアルゴリズムと改訂後のアルゴリズムとのあいだで不均一性が認められたが(P=0.006),他の転帰については認められなかった.全 2,448 例では,酸素飽和度目標値の低い群における未熟児網膜症の発症率は低く(10.6% 対 13.5%,相対リスク 0.79,95% CI 0.63~1.00,P=0.045),壊死性腸炎の発生率が高かった(10.4% 対 8.0%,相対リスク 1.31,95% CI 1.02~1.68,P=0.04).その他の転帰,有害事象の発生率には 2 群間で有意差は認められなかった.

結 論

最新の酸素飽和度計を用いて,超早産児の酸素飽和度の目標値を 90%未満にすることは,死亡リスクの上昇と関連していた.(オーストラリア国立保健医療研究評議会ほかから研究助成を受けた.BOOST II Current Controlled Trials 番号:ISRCTN00842661,Australian New Zealand Clinical Trials Registry 番号:ACTRN12605000055606,ACTRN12605000253606)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 368 : 2094 - 104. )