The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

July 11, 2013 Vol. 369 No. 2

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

急性前骨髄球性白血病に対するレチノイン酸と三酸化ヒ素
Retinoic Acid and Arsenic Trioxide for Acute Promyelocytic Leukemia

F. Lo-Coco and Others

背景

全トランス型レチノイン酸(ATRA)と化学療法の併用は,急性前骨髄球性白血病(APL)に対する標準治療であり,治癒率は 80%を超える.三酸化ヒ素に ATRA を併用する治療を,併用しない治療と比較した予備試験では,高い有効性と血液毒性の軽減が示されている.

方 法

低~中リスク(白血球数 10×109/L 以下)に分類された APL 患者を対象とした第 3 相多施設共同試験において,ATRA+化学療法と ATRA+三酸化ヒ素との比較を行った.患者を,ATRA+三酸化ヒ素による寛解導入および地固め療法を行う群と,ATRA+イダルビシンによる標準的な寛解導入療法の後,ATRA+化学療法による 3 サイクルの地固め療法,および低用量化学療法と ATRA による維持療法を行う群のいずれかに無作為に割り付けた.この試験は,2 年無イベント生存率の 2 群間の差が 5%を超えないことを示すための非劣性試験としてデザインされた.

結 果

完全寛解は,評価しえた ATRA+三酸化ヒ素群の 77 例全例(100%)と,ATRA+化学療法群の 79 例中 75 例(95%)で得られた(P=0.12).追跡期間の中央値は 34.4 ヵ月であった.2 年無イベント生存率は,ATRA+三酸化ヒ素群で 97%,ATRA+化学療法群で 86%であった(差についての 95%信頼区間 2~22 パーセントポイント;ATRA+三酸化ヒ素の非劣性について P<0.001,優越性について P=0.02).全生存率も ATRA+三酸化ヒ素のほうが優れていた(P=0.02).ATRA+化学療法と比較して,ATRA+三酸化ヒ素では血液毒性と感染症が少なかったが,肝毒性が多いことと関連していた.

結 論

低~中リスクの APL 患者の治療において,ATRA+三酸化ヒ素は,ATRA+化学療法と比較して少なくとも非劣性であり,優れている可能性がある.(イタリア白血病患者支援協会ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00482833)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 369 : 111 - 21. )