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October 3, 2013 Vol. 369 No. 14

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重症疾患後の長期認知機能障害
Long-Term Cognitive Impairment after Critical Illness

P.P. Pandharipande and Others

背景

重症疾患の生存者は,日常生活に支障をきたす,遷延性の認知機能障害を有することが多く,その特性はほとんど明らかにされていない.

方 法

内科系または外科系の集中治療室(ICU)で呼吸不全またはショック状態にあった成人患者を登録し,入院中にせん妄の評価を行い,退院後 3 ヵ月と 12 ヵ月の時点で全般的認知機能と実行機能を評価した.評価には,神経心理検査 RBANS(年齢で補正した母平均 [±SD] スコア 100±15,スコアが低いほど全般的認知機能が低い)とトレイルメイキングテスト パート B(年齢・性別・教育で補正した母平均スコア 50±10,スコアが低いほど実行機能が低い)を用いた.せん妄の持続期間と転帰との関連,および鎮静薬または鎮痛薬の投与と転帰との関連は,可能性のある交絡因子で補正した線形回帰モデルを用いて評価した.

結 果

登録した 821 例中,ベースラインで認知機能障害が認められたのは 6%であり,74%が入院中にせん妄を発症した.3 ヵ月の時点における全般的認知機能のスコアは,患者の 40%で母平均より 1.5 SD 低く(中等度の外傷性脳損傷患者のスコアと同程度),26%で 2 SD 低かった(軽度のアルツハイマー病患者のスコアと同程度).認知機能障害は高齢患者と若年患者の両方で認められ,12 ヵ月の時点での評価においても持続し,全患者の 34%が中等度の外傷性脳損傷患者と同程度,24%が軽度のアルツハイマー病患者と同程度のスコアであった.せん妄の持続期間が長いほど,3 ヵ月および 12 ヵ月の時点での全般的認知機能が不良であること(それぞれ P=0.001,P=0.04),および実行機能が不良であること(それぞれ P=0.004,P=0.007)に独立して関連していた.一方,鎮静薬または鎮痛薬の投与は,3 ヵ月の時点においても 12 ヵ月の時点においても,認知機能障害とは一貫して関連していなかった.

結 論

内科系あるいは外科系の ICU 入室患者は,長期認知機能障害のリスクが高い.入院中のせん妄期間が長いほど,3 ヵ月および 12 ヵ月の時点における全般的認知機能および実行機能のスコアが不良であることに関連していた.(米国国立衛生研究所ほかから研究助成を受けた.BRAIN-ICU ClinicalTrials.gov 番号:NCT00392795)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 369 : 1306 - 16. )