October 3, 2013 Vol. 369 No. 14
急性冠症候群を発症して間もない 2 型糖尿病患者におけるアログリプチン
Alogliptin after Acute Coronary Syndrome in Patients with Type 2 Diabetes
W.B. White and Others
2 型糖尿病患者における新規血糖降下薬に関連する可能性のある心血管リスク上昇を評価するために,規制当局は,新規の抗糖尿病療法の心血管系に対する安全性プロファイルを包括的に評価することを求めている.われわれは,急性冠症候群を発症して間もない 2 型糖尿病患者を対象として,新規ジペプチジルペプチダーゼ 4(DPP-4)阻害薬アログリプチンによる心血管転帰を,プラセボと比較評価した.
2 型糖尿病を有し,過去 15~90 日以内に急性心筋梗塞または入院を要する不安定狭心症を発症した患者を,すでに行われている血糖降下療法や心血管系薬物療法に加えて,アログリプチンを投与する群とプラセボを投与する群に無作為に割り付けた.研究デザインは二重盲検非劣性試験とし,事前に規定した非劣性マージンは,主要エンドポイントである心血管系の原因による死亡,非致死的心筋梗塞,非致死的脳卒中の複合のハザード比 1.3 とした.
5,380 例を無作為化し,最長 40 ヵ月間追跡した(中央値 18 ヵ月).主要エンドポイントイベントは,アログリプチン群 305 例(11.3%)と,プラセボ群 316 例(11.8%)に発生した(ハザード比 0.96,片側反復信頼区間上限 1.16,非劣性について P<0.001).糖化ヘモグロビン値は,アログリプチン群のほうがプラセボ群よりも有意に低かった(平均差 -0.36 パーセントポイント,P<0.001).低血糖,癌,膵炎,透析開始の発生率は,アログリプチン群とプラセボ群とで同程度であった.
急性冠症候群を発症して間もない 2 型糖尿病患者において,DPP-4 阻害薬アログリプチンにより,主要な心血管系有害事象の発生率はプラセボと比較して上昇しなかった.(Takeda Development Center Americas 社から研究助成を受けた.EXAMINE ClinicalTrials.gov 番号:NCT00968708)