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February 13, 2014 Vol. 370 No. 7

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C5 の遺伝子多様体とエクリズマブに対する反応不良
Genetic Variants in C5 and Poor Response to Eculizumab

J. Nishimura and Others

背景

エクリズマブは,補体蛋白 C5 を標的とするヒト化モノクローナル抗体であり,発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)に関連する終末補体介在性溶血を阻害する.日本人 PNH 患者の一部の集団にみられるエクリズマブに対する反応不良の分子的基盤は明らかにされていない.

方 法

エクリズマブに対する反応が良好な PNH 患者と不良なPNH 患者において,C5 をコードする遺伝子の塩基配列を検討した.これらの患者でコードされていた C5 の機能的特性も評価した.

結 果

エクリズマブが投与された日本人 PNH 患者 345 例のうち,11 例が反応不良であった.11 例全例が C5 の単一ミスセンスヘテロ接合性変異 c.2654G→A を有しており,p.Arg885His 多型が予測された.PNH 患者におけるこの変異の保有率(3.2%)は,日本人健常者における保有率(3.5%)と同程度であった.この多型は漢民族集団においても同定された.反応不良であったアジア系アルゼンチン人患者の 1 例は,きわめて類似する変異 c.2653C→T を有し,p.Arg885Cys が予測された.in vitro で非変異 C5,変異 C5 はいずれも溶血を引き起こしたが,エクリズマブと結合し,エクリズマブによって阻害されたのは非変異 C5 のみであった.in vitro における非変異 C5,変異 C5 による溶血は,エクリズマブとは異なる C5 部位に結合するモノクローナル抗体 N19-8 を用いると完全に阻害された.

結 論

Arg885 の変異を伴う C5 多様体の機能的特性は,それがエクリズマブによって阻害されないことと合わせて,その変異を有する PNH 患者のエクリズマブに対する反応不良を説明している.(Alexion Pharmaceuticals 社および厚生労働省から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 370 : 632 - 9. )