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January 1, 2015 Vol. 372 No. 1

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急性期脳梗塞に対する動脈内治療の無作為化試験
A Randomized Trial of Intraarterial Treatment for Acute Ischemic Stroke

O.A. Berkhemer and Others

背景

頭蓋内動脈近位部閉塞による急性期脳梗塞患者に対し,動脈内治療は緊急血行再建に非常に有効である.しかし,機能的転帰への有益な効果の証拠は不足している.

方 法

適格患者を,動脈内治療と標準治療を行う群と,標準治療のみを行う群に無作為に割り付けた.前方循環の動脈近位部閉塞が血管イメージングで確認され,発症後 6 時間以内に動脈内治療が可能であった患者を適格とした.主要評価項目は,90 日の時点での修正 Rankin スケールのスコアとした.この分類スケールでは,0(症状なし)から 6(死亡)のスコアで機能的転帰を評価する.治療効果は,順序ロジスティック回帰により共通オッズ比として推定し,事前に規定した予後因子について補正した.補正後の共通オッズ比から,動脈内治療のほうが標準治療単独よりも修正 Rankin スコアが低くなる確率を測定した(シフト解析).

結 果

オランダの 16 の医療施設で 500 例を登録した(233 例を動脈内治療,267 例を標準治療単独に割り付けた).平均年齢は 65 歳(範囲 23~96)で,445 例(89.0%)が無作為化前にアルテプラーゼ静注療法を受けた.動脈内治療群 233 例中 190 例(81.5%)で,血栓回収ステントが用いられた.補正後の共通オッズ比は 1.67(95%信頼区間 [CI] 1.21~2.30)であった.機能的に自立した患者(修正 Rankin スコア 0~2)の割合は,介入群のほうが高く(32.6% 対 19.1%),絶対差は 13.5 パーセントポイント(95% CI 5.9~21.2)であった.死亡率にも症候性脳内出血の発生率にも有意差は認められなかった.

結 論

前方循環の頭蓋内動脈近位部閉塞による急性期脳梗塞患者において,発症後 6 時間以内に行った動脈内治療は,有効かつ安全であった.(オランダ心臓財団ほかから研究助成を受けた.MR CLEAN 試験:Netherlands Trial Registry 登録番号 NTR1804,Current Controlled Trials 登録番号 ISRCTN10888758)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 372 : 11 - 20. )