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January 1, 2015 Vol. 372 No. 1

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高齢のアフリカ系アメリカ人におけるアミロイド形成性 V122I トランスサイレチン多様体
The Amyloidogenic V122I Transthyretin Variant in Elderly Black Americans

C.C. Quarta and Others

背景

アフリカ系アメリカ人の約 4%には,トランスサイレチンという蛋白にバリンからイソロイシンへの置換(V122I)が認められるが,晩発性の拘束型アミロイド心筋症と,死亡および心不全のリスクの上昇に関連することが示されている.

方 法

「地域におけるアテローム性動脈硬化リスク(ARIC)」研究に参加しているアフリカ系アメリカ人 3,856 人において,トランスサイレチン遺伝子(TTR)の遺伝型の状態を決定し,V122I TTR 多様体保有者(124 人 [3%])と非保有者(3,732 人)とで,臨床的特性,死亡率,心不全発症のリスクを比較評価した.65 歳を超え,5 回目の受診時(2011~13 年)に心エコー検査を受けた参加者において,心臓の構造および機能と,心アミロイドーシスを示唆する所見を評価した.

結 果

21.5 年間の追跡調査後,保有者(死亡 41 例,33%)と非保有者(死亡 1,382 例,37%)とのあいだで死亡率に有意差は認められなかった(保有者における年齢と性別で層別化後のハザード比 0.99,95%信頼区間 [CI] 0.73~1.36,P=0.97).TTR 多様体は,心不全発症のリスクが高いことに関連した(年齢と性別で層別化後のハザード比 1.47,95% CI 1.03~2.10,P=0.04).5 回目の受診時の心エコー検査において,保有者(46 人)では,非保有者(1,194 人)と比較して,収縮機能と拡張機能が悪化しており,脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体 N 端フラグメント(NT-proBNP)濃度が高かったが,保有者がアミロイド心筋症の明らかな症状を呈する割合は低かった(7%).

結 論

V122I TTR アレル保有者と非保有者とのあいだで,死亡率に有意差は認められず,先行研究での観察結果とは一致しなかったが,心不全のリスクは保有者のほうが高かった.V122I TTR 保有者における明らかな心臓異常の有病率は低かった.(米国国立心臓・肺・血液研究所ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 372 : 21 - 9. )