April 16, 2015 Vol. 372 No. 16
麻疹に対するエアロゾルワクチンの無作為化対照試験
A Randomized, Controlled Trial of an Aerosolized Vaccine against Measles
N. Low and Others
麻疹は依然として疾病と死亡の主要な原因であるが,エアロゾルワクチンは,針を用いない予防接種の手段として用いることができる可能性がある.麻疹に対するエアロゾルワクチンの,小児における免疫原性に関するデータは一貫していない.
インドで,初回の麻疹ワクチン接種に適格な 9.0~11.9 ヵ月の小児を対象とした非盲検非劣性試験を行った.小児を,単回のワクチン接種にエアロゾル吸入を用いる群と,皮下注射を用いる群に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,接種後 91 日の時点での抗麻疹抗体の血清陽性と,有害事象とした.非劣性マージンは 5 パーセントポイントとした.
1,001 例をエアロゾルワクチン接種,1,003 例を皮下注射ワクチン接種に割り付けた.1,956 例(97.6%)を 91 日目まで追跡しえたが,検体が輸送時に解凍されてしまった 331 例の転帰は欠測データとなった.per-protocol 集団において,2,004 例中 1,560 例(77.8%)のデータを評価しえた.91 日の時点で血清陽性であったのは,エアロゾル群では 775 例中 662 例(85.4%,95%信頼区間 [CI] 82.5~88.0)であったのに対して,皮下注射群では 785 例中 743 例(94.6%,95% CI 92.7~96.1)であり,差は -9.2 パーセントポイント(95% CI -12.2~-6.3)であった.結果は全解析セット(エアロゾル群 788 例中 673 例 [85.4%],皮下注射群 796 例中 754 例 [94.7%] が 91 日の時点で血清陽性,差は -9.3 パーセントポイント [95% CI -12.3~-6.4])においても,欠測データに多重代入法を用いた場合も同程度であった.麻疹ワクチンに起因する重篤な有害事象はなかった.有害事象プロファイルは 2 群で同程度であった.
麻疹に対するエアロゾルワクチンは免疫原性を示したものの,事前に規定したマージンに基づくと,エアロゾルワクチンは,血清陽性率に関して皮下ワクチンと比較して劣性であった.(ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団から研究助成を受けた.麻疹エアロゾルワクチンプロジェクト:Clinical Trials Registry–India 登録番号 CTRI/2009/091/000673)