米国の新生児集中治療室における新生児薬物離脱症候群の増加
Increasing Incidence of the Neonatal Abstinence Syndrome in U.S. Neonatal ICUs
V.N. Tolia and Others
新生児薬物離脱症候群は,子宮内オピオイド曝露後に発症することがもっとも多い症候群であり,この 10 年で増加していることが知られている.しかし,その発症率の近年の動向や,人口統計学的特性および発症例に対する入院治療の変化は,十分には明らかにされていない.
複数の横断分析,匿名化されたデータセットを用いて,米国の 299 の新生児集中治療室(NICU)で,2004~13 年に新生児薬物離脱症候群を発症した乳児のデータを分析した.発症率および医療の利用における動向,ならびに乳児と母親の臨床的特徴の変化を評価した.
NICU に入室した 674,845 例のうち,新生児薬物離脱症候群の患児 10,327 例を同定した.2004 年から 2013 年にかけて,新生児薬物離脱症候群による NICU 入室率は入室 1,000 例あたり 7 症例から 27 症例に増加し,NICU 在室期間の中央値は 13 日から 19 日に延長した(両者の傾向性の P<0.001).米国内の NICU 全在室日数のうち,新生児薬物離脱症候群によるものの割合は 0.6%から 4.0%に増加し(傾向性の P<0.001),8 施設が,2013 年における NICU 全在室日数の 20%超が新生児薬物離脱症候群の乳児の治療によるものであったと報告している.薬物療法が実施された例は増加し(2004~05 年は 74%であったのに対し,2012~13 年は 87%;傾向性の P<0.001),モルヒネがもっとも多く使用された(2004 年は 49%であったのに対し,2013 年は 72%;傾向性の P<0.001).
2004~13 年に,新生児薬物離脱症候群は米国内の NICU で重症新生児に利用された医療のうちのかなりの割合を占め,その割合は増加していったことが示された.