禁煙に対する 4 つの金銭的インセンティブプログラムに関する無作為化試験
Randomized Trial of Four Financial-Incentive Programs for Smoking Cessation
S.D. Halpern and Others
金銭的インセンティブは多くの健康行動を促進するが,健康に対してのインセンティブを与えるのに有効な方法は明らかではない.
CVS Caremark 社の従業員とその親族・友人を,禁煙に対する 4 つのインセンティブプログラムのいずれか,または通常のケアに無作為に割り付けた.インセンティブプログラムの 2 つは個人を対象とし,残りの 2 つは 6 人のグループを対象とした.個人プログラムの 1 つとグループプログラムの 1 つでは,禁煙に対して約 800 ドルの報酬を支払うこととした.残りのプログラムでは,150 ドルの保証金を課し,禁煙に成功した参加者には保証金 150 ドルの払戻しに加え,650 ドルの報酬を支払うこととした.通常のケアは,禁煙に関する情報と無料の禁煙支援の提供とした.
2,538 人を登録した.報酬制プログラムに割り付けられた参加者は,90.0%が割付けを受け入れたのに対し,保証金制プログラムに割り付けられた参加者で割付けを受け入れたのは 13.7%であった(P<0.001).intention-to-treat 解析において,6 ヵ月禁煙率は,4 つのインセンティブプログラム(9.4~16.0%)のほうが,通常のケア(6.0%)よりも高く(すべての比較について P<0.05),報酬制プログラムの優越性は 12 ヵ月間維持された.グループプログラムと個人プログラムでは,同程度の 6 ヵ月禁煙率と関連していた(それぞれ 13.7%と 12.1%,P=0.29).報酬制プログラムは,保証金制プログラムよりも高い禁煙率に関連していた(15.7% 対 10.2%,P<0.001).しかし,受入れの差を考慮する操作変数法を用いると,保証金制プログラムと報酬制プログラムのどちらでも受け入れたであろうと推定される 13.7%の参加者において,6 ヵ月禁煙率は,保証金制プログラムのほうが報酬制プログラムよりも 13.2 パーセントポイント(95%信頼区間 3.1~22.8)高かった.
報酬制プログラムは,保証金制プログラムよりも受け入れられる頻度がはるかに高く,禁煙維持率が高かった.グループを対象としたインセンティブプログラムが,個人を対象としたプログラムよりも有効ということはなかった.(米国国立衛生研究所および CVS Caremark 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01526265)