院外心停止に対する心肺蘇生の訓練を受けた市民の携帯電話を用いた派遣
Mobile-Phone Dispatch of Laypersons for CPR in Out-of-Hospital Cardiac Arrest
M. Ringh and Others
居合わせた人によって行われる心肺蘇生(CPR)は,院外心停止患者の生存率の上昇に関連する.われわれは,携帯電話使用者の位置を瞬時に特定する携帯電話測位システムを用いて,院外心停止患者の近くにいる CPR の訓練を受けた市民ボランティアを現場に派遣することによって,居合わせた人による CPR の実施率が上昇するかどうかを検討した.
ストックホルムで,2012 年 4 月~2013 年 12 月に盲検無作為化比較試験を行った.救急,消防,警察が派遣されると起動される携帯電話測位システムを用いて,院外心停止患者から 500 m 以内にいる,訓練を受けたボランティアの位置を特定した.続いてそのボランティアを患者のところに派遣する群(介入群)と,派遣しない群(対照群)に割り付けた.主要評価項目は,救急,消防,警察の到着前の,居合わせた人による CPR の実施とした.
CPR の訓練を受けた市民ボランティア 5,989 人が最初に登録され,試験期間中に 9,828 人が登録された.院外心停止 667 件で携帯電話測位システムが起動され,ボランティアが割り付けられたのは介入群 46%(306 例),対照群 54%(361 例)であった.居合わせた人による CPR の実施率は,介入群 62%(305 例中 188 例),対照群 48%(360 例中 172 例)であった(介入群の対照群に対する絶対差 14 パーセントポイント,95%信頼区間 6~21,P<0.001).
CPR の訓練を受けた市民ボランティアを派遣するための携帯電話測位システムは,院外心停止患者における,居合わせた人による CPR の実施率の有意な上昇に関連した.(スウェーデン心臓・肺財団およびストックホルム県から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01789554)