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February 26, 2015 Vol. 372 No. 9

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米国の小児における入院を要する市中肺炎
Community-Acquired Pneumonia Requiring Hospitalization among U.S. Children

S. Jain and Others

背景

米国の小児における市中肺炎による入院の,前向きなデータ収集に基づく発生率の推定には限界がある.X 線および最新の診断検査で確認された肺炎の,最新の推定値が必要とされている.

方 法

メンフィス,ナッシュビル,ソルトレークシティにある 3 病院で,18 歳未満の小児における入院を要する市中肺炎について,集団ベースの積極的サーベイランスを行った.直近の入院歴がある例,重度の免疫抑制状態にある例は除外した.複数の方法を用いて病原体を検出するため,血液検体と呼吸器検体を系統的に収集した.胸部 X 線写真はこの研究に参加した放射線科医が独立に再検討した.

結 果

2010 年 1 月~2012 年 6 月に,適格であった 3,803 例のうち 2,638 例(69%)を登録した.このうち 2,358 例(89%)では,X 線写真で肺炎像が認められた.年齢の中央値は 2 歳(四分位範囲 1~6)で,2,358 例中 497 例(21%)は集中治療を要し,3 例(<1%)は死亡した.X 線写真上で肺炎の所見が認められ,細菌検査・ウイルス検査用の検体が利用可能であった 2,222 例のうち,1,802 例(81%)でウイルス性病原体または細菌性病原体が検出され,1,472 例(66%)では 1 種類以上のウイルスが,175 例(8%)では細菌が,155 例(7%)では細菌性病原体とウイルス性病原体の両方が検出された.肺炎の年間発生率は小児 10,000 人あたり 15.7 例(95%信頼区間 [CI] 14.9~16.5)で,2 歳未満の児でもっとも高かった(10,000 人あたり 62.2 例,95%CI 57.6~67.1).RS ウイルスの検出率は,5 歳未満の児で 5 歳以上の児よりも高く(37% 対 8%),アデノウイルス,ヒトメタニューモウイルスの検出率についても同様であった(それぞれ 15% 対 3%,15% 対 8%).肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)の検出率は,5 歳以上の児で 5 歳未満の児よりも高かった(19% 対 3%).

結 論

市中肺炎に罹患した小児における入院の負担は,低年齢児でもっとも大きく,呼吸器系ウイルスがその原因としてもっとも多く検出された.(米国予防接種・呼吸器疾患センターのインフルエンザ局から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 372 : 835 - 45. )