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February 26, 2015 Vol. 372 No. 9

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サウジアラビアのジェッダにおける 2014 年の中東呼吸器症候群コロナウイルス感染症の集団発生 ― 医療施設との関連
2014 MERS-CoV Outbreak in Jeddah — A Link to Health Care Facilities

I.K. Oboho and Others

背景

2014 年前半に,サウジアラビアのジェッダで,中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)感染の症例数が顕著に増加した.われわれは,その理由を探索するため,そしてこの疾患の疫学的特徴と臨床像を評価するため,ジェッダにおける MERS-CoV 感染患者の評価を行った.

方 法

2014 年 1 月 1 日~5 月 16 日にサウジアラビア保健省に報告された,ジェッダにおいて検査で MERS-CoV 感染が確定された全症例を同定した.医療従事者以外の有症状の患者には電話調査を行い,病院の記録を再検討した.無症状と報告されていた患者を同定し,検査の前の月における症状の経過について聞き取り調査を行った.記述的分析を行った.

結 果

検査で確認された MERS-CoV 感染患者 255 例中,93 例が死亡した(致死率 36.5%).全患者の年齢中央値は 45 歳(四分位範囲 30~59)で,男性は 174 例(68.2%)であった.64 例(25.1%)が無症状と報告されていた.有症状であった 191 例中,40 例(20.9%)は医療従事者であった.医療従事者以外で有症状であった 151 例のうち,112 例(74.2%)に評価可能なデータがあり,このうち 109 例(97.3%)が,発症前の 14 日間に,医療施設,MERS-CoV 感染確定例,重症呼吸器疾患患者と接触していた.残りの 3 例(2.7%)は,そのような接触を報告していなかった.無症状と報告されていた 64 例中,33 例(52%)に聞き取り調査を行ったが,33 例中 26 例(79%)がウイルス性呼吸器疾患と一致する症状を少なくとも 1 つ報告した.

結 論

ジェッダの MERS-CoV 集団発生において,患者の大多数は医療施設,他の患者,あるいはその両方と接触していた.このことから,医療関連伝播の役割が浮き彫りになった.(サウジアラビア保健省,米国疾病対策予防センターから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 372 : 846 - 54. )