E 型肝炎ワクチンの長期的有効性
Long-Term Efficacy of a Hepatitis E Vaccine
J. Zhang and Others
E 型肝炎ウイルス(HEV)は急性肝炎の主な原因である.E 型肝炎ワクチンの長期的有効性を明らかにする必要がある.
最初に行った有効性試験では,16~65 歳の健常成人を,E 型肝炎ワクチンの接種を 3 回受ける群(ワクチン群,56,302 例)と,B 型肝炎ワクチンの接種を 3 回受ける群(対照群,56,302 例)に無作為に割り付けた.接種は 0,1,6 ヵ月の時点で行い,参加者を 19 ヵ月間追跡した.今回報告する延長追跡調査試験では,全参加者の治療割付けを二重盲検化したまま,有効性,免疫原性,安全性の追跡評価を最長 4.5 年間継続した.
4.5 年の試験期間に,E 型肝炎の症例は 60 例同定された.内訳は,ワクチン群 7 例(10,000 人年あたり 0.3 例),対照群 53 例(10,000 人年あたり 2.1 例)であり,修正 intention-to-treat 解析におけるワクチン有効率は 86.8%(95%信頼区間 71~94)であった.免疫原性の評価を受け,ベースラインの血清反応が陰性であった参加者のうち,E 型肝炎ワクチンの接種を 3 回受けた参加者の 87%では,抗 HEV 抗体の発現は少なくとも 4.5 年間維持された.対照群では HEV 抗体価が陽性になったのは 9%であった.有害事象の発現率は 2 群で同程度であった.
今回検討した E 型肝炎ワクチンを予防接種することで,抗 HEV 抗体が誘導され,E 型肝炎に対する防御能が 4.5 年の時点まで持続した.(中国科学技術部ほかから研究助成を受けた.Clinical Trials.gov 登録番号 NCT01014845)