September 17, 2015 Vol. 373 No. 12
収縮期心不全患者の中枢性睡眠時無呼吸に対する適応補助換気
Adaptive Servo-Ventilation for Central Sleep Apnea in Systolic Heart Failure
M.R. Cowie and Others
心不全患者における中枢性睡眠時無呼吸は,予後不良と死亡に関連している.適応補助換気(ASV)は,中枢性睡眠時無呼吸の治療を目的として呼気気道陽圧にサーボ機構で制御された吸気サポート圧を供給する,非侵襲的人工呼吸器を用いた治療法である.駆出率が低下した心不全と中枢性優位の睡眠時無呼吸が認められる患者を対象として,ASV の効果を検討した.
左室駆出率が 45%以下,無呼吸低呼吸指数(AHI;1 時間あたりに発生する無呼吸もしくは低呼吸の回数)が 15 以上,中枢性優位の睡眠時無呼吸患者 1,325 例を,ガイドラインに基づく薬物療法にASV を追加して行う群と,ガイドラインに基づく薬物療法のみを行う群(対照群)に無作為に割り付けた.生存時間(time-to-event)解析における主要評価項目は,全死因死亡,救命のための心血管介入(心臓移植,補助人工心臓の植込み,突然の心停止後の蘇生,救命のための適切な電気ショック),心不全の悪化による予定外の入院の,いずれかの初回発生とした.
ASV 群では,12 ヵ月の時点での平均 AHI は 6.6 であった.主要評価項目の発生率に,ASV 群と対照群とのあいだで有意差は認められなかった(それぞれ 54.1%と 50.8%,ハザード比 1.13,95%信頼区間 [CI] 0.97~1.31,P=0.10).全死因死亡率と心血管死亡率は,ASV 群のほうが対照群よりも有意に高かった(全死因死亡のハザード比 1.28,95% CI 1.06~1.55,P=0.01;心血管死亡のハザード比 1.34,95% CI 1.09~1.65,P=0.006).
ASV は,駆出率が低下した心不全と中枢性優位の睡眠時無呼吸が認められる患者の主要評価項目に関して有意な効果を示さず,全死因死亡率と心血管死亡率がいずれも上昇した.(ResMed 社ほかから研究助成を受けた.SERVE-HF 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00733343)