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September 24, 2015 Vol. 373 No. 13

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原因不明の不妊症に対するレトロゾール,ゴナドトロピン,クロミフェンの比較
Letrozole, Gonadotropin, or Clomiphene for Unexplained Infertility

M.P. Diamond and Others

背景

原因不明の不妊症女性に対する標準療法は,ゴナドトロピンまたはクロミフェンクエン酸塩による卵巣刺激である.レトロゾールによる卵巣刺激は,生児出生率を維持しながら多胎妊娠を減少させる可能性が示唆されている.

方 法

原因不明の不妊症カップルを対象とする多施設共同無作為化試験を行った.少なくとも片方の卵管が開存しており,排卵のある 18~40 歳の女性を,卵巣刺激(最大 4 サイクル)をゴナドトロピンにより行う群(301 例),クロミフェンにより行う群(300 例),レトロゾールにより行う群(299 例)に無作為に割り付けた.主要評価項目は,臨床的に妊娠が確認された女性における多胎妊娠率とした.

結 果

ゴナドトロピン,クロミフェン,レトロゾール投与後の臨床妊娠率はそれぞれ 35.5%,28.3%,22.4%であり,生児出生率はそれぞれ 32.2%,23.3%,18.7%であった.レトロゾール群の妊娠率は,標準療法群(ゴナドトロピン群,クロミフェン群)の妊娠率(P=0.003),ゴナドトロピン群の妊娠率(P<0.001)よりも有意に低かったが,クロミフェン群の妊娠率(P=0.10)との差は有意ではなかった.胎児の心臓の動きが確認された継続妊娠のうち,多胎妊娠率はレトロゾール群(67 件中 9 件,13%)と,標準療法群(192 件中 42 件,22%,P=0.15),クロミフェン群(85 件中 8 件,9%,P=0.44)との比較では有意差は認められなかったが,ゴナドトロピン群(107 例中 34 例,32%,P=0.006)との比較では有意に低かった.クロミフェン群とレトロゾール群の多胎妊娠はすべて双胎妊娠であったが,ゴナドトロピン群では双胎妊娠が 24 例,三胎妊娠が 10 例あった.先天異常,重篤な胎児・新生児合併症の発生頻度に群間で有意差は認められなかった.

結 論

原因不明の不妊症女性に対するレトロゾールによる卵巣刺激は,ゴナドトロピンによる卵巣刺激と比較して多胎妊娠率を有意に低下させたが,生児出生率も低下させた.またレトロゾールによる卵巣刺激とクロミフェンによる卵巣刺激との比較では,有意差は認められなかった.(米国国立衛生研究所ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01044862)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 373 : 1230 - 40. )